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ANAオープンゴルフトーナメント 2005

深堀圭一郎「そんな簡単に勝たせるわけにはいかない」

この日バーディを奪った5番と9番。右手でかすかに作った「L」のマーク。
実は、前夜にある人と約束していた。

知人の紹介で知り合った歌手の倉木麻衣さん。札幌市内で行われたコンサートを見たあと、楽屋に遊びに行ったときのことだ。

倉木さんが「日曜日はライブがないので、テレビで応援しています」と言ってくれたことが嬉しくて、「じゃあ、僕はバーディを取ったら、そのたびにラブリーポーズをするよ」と、答えてしまった。

“ラブリーポーズ”とは、倉木さんがステージでよくするパフォーマンスのことだという。
人差し指と親指を立てて作る「L」の形は、「LOVE」の頭文字を意味しているそうだ。

スタート前にも友人たちと「ラブリーポーズ、するぞ!!」と張り切って出ていったが、「実際は、恥ずかしくて・・・」。
しかもこの日3日目は、最大瞬間風速18.2メートルの強風と、横殴りの大雨。
前日2日目に62のコース新をマークしたゴルフとは打ってかわって、とてもポーズを作る余裕などなかった。
本人は「今日はできませんでしたよ」と苦笑したが、実際に居合わせた関係者によると「恥ずかしそうだったけど、でも確かに右手でLのマークを作っていた」という。

過酷な条件の中でしっかりと公約も果たし、粘り強く首位をキープした。

同じ首位タイに連覇をねらうチャワリット・プラポールと、2週連続Vがかかった今野康晴がつけている。
1打差2位にはやはりここ北海道で行われた8月のサン・クロレラ クラシックで、退けたばかりの星野英正と、ツアー初優勝をねらう近藤智弘がいる。

特に近藤は、日ごろから何かと気にかけているかわいい後輩。
コースであまり悔しさを表現しない近藤がじれったくて、「もっと苦しんで、気持ちを出してゴルフをしろ!」などと厳しい言葉をかけるのも、「良いゴルフをさせたいがため」だ。

壁を突き破れないでいる近藤に、今度こそ勝たしてやりたいという気持ちもある一方で、「そんな簡単に勝たすわけにはいかない」。
自分にも98年以来の大会2勝目と、地元・北海道での2連勝がかかっている。

そして何より、先輩としての意地がある。
最終日の18番ホールこそテレビに向って、特大の「L」ポーズを作るつもりだ。

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