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日本オープンゴルフ選手権 2025
NHK解説の深堀圭一郎が解説する日光の難しさ(テレビ中継のお知らせ)
日光カンツリー倶楽部は一見フラットだ。
しかし、そこに潜む目に見えない傾斜に惑わされないように、と選手の多くが口にする。
大谷川に沿って展開する18ホールは、約2%の勾配でゆるやかに傾き、高低差は最大で55メートル。
コースの特性を示すエピソードとして広まったのが前回、同会場で行われた2003年大会のVシーンだ。
深堀圭一郎(ふかぼり・けいいちろう)が最後18番の第2打を打つ際に球を高く上げるか、もしくは手前の花道から転がし上げるのか。

目には見えない傾斜を読み取るために、当週キャディのディーンさんが取った行動が、コース上で靴を脱いではだしになり、足裏でたどりながら、ピンまでの距離を歩測した、というもの。
深堀は「そうだったっけ…??」と、笑いながら首をかしげた。
確かにディーンさんのサポートは、そこまでしかねないほど綿密かつ緻密であった。
同時に、そこまでしかねないほど、当時から日光は難読だった。
「でも練習日から、非常に熱心に下見をしてくれて。本戦に入っても僕が考えられないような攻め方や考え方、気持ちの持ち方を示してくれた。それがすごく新鮮で、僕のプレーとマッチした」。
5打差の大逆転へと導かれた。
深堀の解説によると、ここ日光の難しさは大きく分けて3つ。
①微妙な高低差の見極め
②野芝のフェアウェイ
③グリーンの起伏
①は冒頭の、キャディさんが裸足で歩測したというエピソードのとおり。
「それはね…、僕が忘れちゃってるかもしれないんだけど笑。それくらいに形状が読みにくいってこと。平らと思ったら登りだったり、登りが実は平らだったり。勘違いをしやすいんです」(深堀)。
②については「野芝のフェアウェイは、高麗と違って、ちょっと沈み気味のライに行ったときに、少し上からコンタクトをすると、球が強く出ちゃうので距離感が難しくなる」(深堀)。
加えて、標高500メートルという立地も悩ましく深堀によると「1000メートルまで高くなるとちょうど1クラブ飛距離が出るイメージなんですが、500メートルだと、球が微妙に飛び始めるな…という境目」。それがまた、選手たちの距離感を惑わせるという。
そして③は「グリーンの起伏がはっきりと分かれているのでどの面に乗せたらいいか。ほんと、行っちゃいけない面に行ったらチャンスはなく、むしろずっとピンチが続きかねない」。
手前から奥に下っているホールも多く、落としどころによっては天か地かほどの差がでてしまうという。
そのほか、「日光のアーメンコーナー」とも言われるインの10、11、12番の攻略など、難しさを挙げだしたらキリがない。
「僕はたまたまその週、うまくいっただけなんですけどね」と、深堀は謙遜するが、当時はパット時に手が動かなくなるイップスの症状に苦しんでいたころ。
それがなぜか、ちょうど前週に緩和された。
「手を動かすことの苦労が減ったら、その先に新しい道が見えてきて、そのほかのいろんなことを考えてやれる余裕が出てきたら、新しいマインドで取り組めるようになり、ディーンとのさまざまな話し合いの中で、イマジネーションも広がっていきました」(深堀)。
当時はVの資格で全米オープンや、全英オープンの予選会の出場を得られて、メジャーの舞台を踏めたり、世界への扉も開いた。
今年は、全英オープン(最上位者)に加えて、勝者にマスターズの切符が付与されることになった。
第90回目。
「こうして、歴史が長く引き継がれてきたからこその評価と思います」と深堀。
57歳を迎えた今、「ナショナルオープンの覇者ですと自己紹介すると、人との新しいつながりができたり、海外に行っても一目置かれるようになったり」と、タイトルの重みも改めて実感する。
22年年ぶりに開催コースが戻ってきた日光ではNHKの解説者としても、大いに説得力が持たせられるのはもちろんだ。
📺中継スケジュール
10月16日 15:10~17:00 (NHK 総合)
10月17日 15:10~17:00 (NHK 総合)
10月18日 07:00~12:30 (ゴルフネットワーク・とことん1番ホール)
10月18日 13:50~16:00 (NHK 総合)
10月19日 07:00~12:15 (ゴルフネットワーク・とことん1番ホール)
10月19日 13:05~16:00 (NHK 総合)














