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バンテリン東海クラシック 2021

「行ってらっしゃい。お先にどうぞ!」稲森佑貴の三好の流儀

置いていかれるんじゃない、譲るんです©JGTOimages
日本一曲げない男が、単独首位で抜け出した。
プロ11年目の稲森佑貴が7バーディ1ボギーの「65」。
通算11アンダーで、眼下に日本一の飛ばし屋を従えた。

1番から3連続バーディで飛び出したこの日は、午後から台風の余波が来た。
特に、三好の鬼門といわれる上がりの3ホールは初日と真逆の向かい風。
苦しい展開で、「拾いに拾った」と、第1打を右バンカーに入れた屈指の16番パー3では脱出の4メートルもがっちりしのいだ。

ここ三好でのセオリーは、「下手なボギーを打たないこと。オールパーでもOK」と、まずは安全第一だ。
「チャンスが来たら、初めてパットで狙ってく」と、この日は5メートル圏内をひとつも逃さず、15番ではグリーン奥からチップイン。

セミラフも含めたら「フェアウェイキープは14回中11回」。
目標が定めにくい右や左に曲がるホールも「空に飛球線を描いて点で攻める」と、今日もまっすぐ一直線。
2位と1差で躍り出た。

コロナで統合された2020年も、フェアウェイキープ1位で年越ししたからなにげに”6年連続”曲げない男。
今年も77.71%と驚異の数値で首位驀進中だが、平均飛距離は266.46ヤードで全体の108位。

大会3日目に27歳になる。
誕生日を共にするのはよりによって、19年の飛距離1位だ。
チャン・キムと最終組でぶつかるが「行ってらっしゃい。お先にどうぞ!」と潔く、道を譲って背後から、べったりピンを刺す作戦。

その日のプレー後には、初開催の一昨年から2年ぶりのドラコン大会も予定されるが「もし僕が出たなら”公開処刑”。観戦するだけにします」。
高見の見物で力を温存する。

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