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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2025
稲森佑貴がフェアウェイキープ1位から陥落、 10季連続ならず。稲森賞は夢と消え…
シード権争いの最終戦で、ひとつ偉大な記録が途切れた。
稲森佑貴(いなもり・ゆうき)が、昨季まで9シーズン続けたフェアウェイキープ1位から陥落した。
賞金42位で迎えた本最終戦を43位で終え、賞金43位でシーズンを終えた。

2015年の初出場から5年連続9回続けた次週のシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の連続出場記録も途切れた。
挽回の余地も失い、現在1位の勝亦悠斗(かつまた・ゆうと)に戴冠を譲ることが濃厚となった。
79.283の勝亦に対して、稲森は77.832%。
3位の片岡尚之(かたおか・なおゆき)が65.934%だから、共に図抜けているのは間違いないが、「そもそも1%以上も離されているわけですから。仮に僕が100%を続けても、逆転は難しかった」。
本大会の予選2ラウンドで一緒に回って、その安定感を目の当たりにしたから間違いない。
「今までは自分が飛ぶ選手に“後ろから打って刺してくるから気持ちが悪い”と、言われ続けてきたんですけど、その気持ちが初めて分かった。曲がらない男は彼(勝亦)です。僕はお役御免です」。
滑らかな早口言葉に無念がにじんだ。
「いろいろトライした結果だから、仕方ない」。
飛距離は伸びたがその分、今年は以前よりもフェアウェイを突き抜けてしまうことも多かった。
受賞2年目の2016年に史上最高数値を更新すると、以降は常に自身の記録超えを連発し、昨季はついに前人未到の80.957%に到達した。
「去年が特化していただけで、今年も普通でいったら数値的に悪いわけじゃない。でも、それ以上に今年は勝亦くんが凄かった」。
抜かれたのは11月の「ACNチャンピオンシップゴルフ」の3日目。
「あのとき彼は100%だったんですけど、僕はやらかしまくって、(先週のダンロップ)フェニックスも落としまくって。ジ・エンド、でしたね」。
今年もし、10シーズン連続が実現したら、年間表彰式のフェアウェイキープ率賞を「稲森賞」に改題しようかという案も出ていただけに、よりによって節目の陥落はとても無念だ。
「僕の物語は終わりですね」と言ったが、9季連続の偉業はこれからも語り継がれる。
稲森の本当の凄みはこれほど長くフェアウェイキープ1位を維持しながら、同時に2014年に初獲得した賞金シードをいまなお守り続けていることでもあり、来季は23年の「ACNチャンピオンシップゴルフ」のV資格で得た複数年シードの最終戦。
「そういう点でも、また気合を入れていかないといけません」と、思いも新た。
次週はタイに飛ぶ。
自身初めてアジアンツアーの予選会にも挑戦する。
「これから再び(フェアウェイキープを)10年続けるというのは絶対に無理ですが、また連続で獲れるようなことがあったら嬉しいですね」。
ここからまた“新・曲げない伝説”を紡いでいく。














