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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2012

復帰元年の深堀圭一郎が単独2位浮上

怪我からの復帰元年は、しかし開幕から3戦とも、1打足りずに予選落ちが続いていた。「娘は喜んでくれたのですが」と笑う。週末はいつも、いないはずのパパが家にいてくれる。「早く帰ってきてくれた」と、そこは娘孝行だったかもしれないが、プロとしては複雑な心境ではある。

今季から、新たにキャロウェイゴルフとクラブ契約を結び、第一歩を踏み出したのは良かったが、「ボールが飛びすぎて距離感が合わなくなった」。

その調整に手間取って、出遅れた。「でもゴルフ自体の内容は、けして悪くなかったから」と焦らずに「いろいろと調整を続けていけば、そのうち必ずスコアに結びつく」。そう信じて今週は、アイアンのロフトを0.5度寝かして、0.3度アップライトに。

また「緊張すると、力が入る」というグリーン上の対策として、特にグリップ部分に試行錯誤を重ねていたパターも今週は、新しいものに変えると、たちまち息を吹き返した。

この日6アンダーの66は、最後の18番も6メートルのバーディトライが決まって、ボギーなしの完璧なゴルフには、久しぶりに端正な笑顔もこぼれた。
「中嶋さんたちと、楽しくやれた」と、最後は同伴競技者とバーディ合戦で、大観衆を沸かせた。

思い切って足の裏にメスを入れたのは、昨年2月。
長く煩ってきた左人差し指の裏に出来た骨膜炎と決別してリハビリにつとめ、「もったいぶっていてもしょうがない」と、今年は思い切って生涯獲得賞金25位位内の資格を使って、ツアーに帰ってきた。

「怪我をして、弱くなってしまった心。温厚になってしまった心をどうやって前向きにしていくかが、今年のテーマ」という深堀も、「試合の中での1球が、次につながる」との確信が持てた大会2日目。
「試合に出ていないと、アスリートは下手になっていく。ベストを尽くしたい」。
1球ごとに歯を食いしばり、復活への道筋をたどる。


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