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サン・クロレラ クラシック 2005

深堀圭一郎が逆転優勝

過去6勝を振り返っても「楽して勝ったことは、ひとつもなかった。どうして、いつもこうなっちゃうんだろう、というくらい(苦笑)」。
1年と10ヶ月ぶりにつかんだツアー7勝目も、やはり深堀らしい勝ち方だった。
度重なるピンチは「粘り」でしのいだ。
「生半可な気持ちでは勝てない」この難コースには、持ち前のど根性で立ち向かった。

会場の小樽カントリー倶楽部は特に、あがり4ホールが鬼門だ。
その入り口の15番パー4を、首位の星野と2打差で迎え「ここからが勝負だ」。
気合を入れなおしたとたんに、ショットは曲がりに曲がった。

もともと、絶好調というわけではなかった。股関節痛を引きずったままのプレーで、「こんなゴルフで、優勝なんかできるわけがない」と、スタート前に本人も断定するほどの状態だった。
極力、歩くペースを普段よりゆったりと取ったりして気をつけてはいたが、いよいよ大事な局面で「気持ちと体のバランスが合わなくなった」。
ミスショットを連発した。

それでも深堀は、手加減しなかった。
「僕は争ったときこそ、気迫でプレーするタイプ」。
ミスショットを怖がって守りに入ったら、「なんで攻めなかったのか、とあとで後悔するから」。
逆境に追い込まれたときこそ、「集中力を高めて前に突き進む。それでもし負けたとしても、必ず見えてくるものがある」と、知っているからだ。

乱れたショットは、アプローチとパットでカバーした。
今週、北海道の洋芝対策に起用したウェッジが支えだった。
「僕は世界一パットがうまい」そう自分に暗示をかけて15番で4メートル、16番では、10メートルものパーパットをねじこんだ。

17番パー3で8メートルのバーディパットを決めて、首位と1打差。
グリーン奥から1.5メートルに寄せたパーパットを決めて握った右こぶし。
結局これが、ウィニングパットとなった。
プレーオフに備え、パッティンググリーンで球を転がしながら最終組を待ったが、星野が18番で短いパーパットを外して、この激戦に終止符が打たれた。

「奇跡の優勝」と深堀は言った。
星野は初日から首位を走り、「彼のほうがどう見ても、良いプレーをしていた。優勝にふさわしいゴルフをしていた」。
それに引きかえ自分はといえば、「本来なら勝てるはずもない内容。優勝はできたけど、けして納得できるものでもない。課題ばかりが見つかった」と、どこまでも厳しい自己評価を下したが、このコースはまぐれで勝てるセッティングではない。
それに何より、大会のキャッチコピーは「新たな感動と、奇蹟を呼ぶ」だ。まさに、これを地でいくプレーで、大会を精一杯盛り上げることができたではないか。

優勝賞金は、3000万円。
日本で第2位を誇る高額賞金を手にし、賞金ランクも3位に浮上した。
「これから今年4勝、5勝として早めに10勝目をあげたい。そして、目標を達成したい」。
この1勝を糧に、自信を持って目指すはもちろん初の賞金王だ。

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