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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2025

追悼・菅谷大介アナウンサーに捧げる

悲報は先月の選手会主催大会の直後に届いた。
11月8日。
日本テレビの菅谷大介アナウンサーが帰らぬ人となった。

ツアー通算8勝のベテラン深堀圭一郎は、通院中の歯科医院を出たところで知らせを受けた。

「膝から崩れそうになった」という。
「ほんとうに全身から力が抜けました。あんなに驚いたことはなかった」。

その前週に行われた「フォーティネット プレーヤーズ カップ」で実況をつとめてくれたのが菅谷さんだった。
深堀は解説として席を並べていた。
そのわずか6日後だった。



「闘病していたのはもちろん知っていました。でも、マイクの声はとても力強かったしまさか、あれが最後になるとは夢にも思わなかった」と、深堀はいう。
深堀の1歳上の故・河村亮アナウンサーも交えて親交を深めてきた。
「絶対に人の悪いことは言わない。いつも笑顔で相手思い。それでいて視野が広く、心のこもったコメントでゴルフ界を支えてくれる一人だったのに」。

無念でならない。

選手会長の谷原秀人もショックを受けていた。
谷原が大会会長をつとめた同大会で、開幕前日にインタビューを受けていた。
「お元気そうに見えたのに。まさか」。
ベテランにも若手にも礼儀正しく、常に敬意をもって接してくれた。
「選手の思いを丁寧に引き出してくれる人でした」と、惜しむ。

宮里優作が、今も忘れられないのが2013年の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」だ。
最終ホールのチップインパーセーブで悲願のツアー初優勝を達成し、感泣する宮里に、静かにマイクを向けてくれたのが菅谷さんだった。



その後も逆転の賞金王Vを飾った2017年大会や、地元沖縄Vを挙げた同年の「日本プロ」でも家族ぐるみでお世話になった。

「練習ラウンドから選手について歩かれて、情報集めや下準備を怠らない、アナウンサーイズムに溢れた方でした。人間味もすごくあって、いつもフラットにお話ができた。これから若いアナウンサーさんを育てるという大事なお役目もあったと思う。本当に惜しい方を失くしてしまった」。

訃報の前週。宮里が体調を気遣うと、「大丈夫でなければここにはいません」と、優しい笑顔で言われて安心していた。
「また会場でお会いましょう、とお話ししたのが最後になってしまった。本当に寂しいです」(宮里)。

深堀は今週も、リポーターとして共に仕事ができるはずだった。
「またシリーズでね」と、約束した人はもういない。


選手会では今週、菅谷さんが実況をつとめてくださることになっていた大会3日目に、出場選手や関係者が喪章をつけ、在りし日を偲ぶことにしている。
「一緒に会場にいてくれると思って話をしたい」と、深堀は思っている。

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