Tournament article

日本プロゴルフ選手権大会 2025

蟬川泰果が3度目の正直で挑む偉業

プロ競技として最古の日本タイトル戦で、今度こそ負けられない戦い。
3度目の正直をかけて蟬川泰果(せみかわ・たいが)が、今年も好スタートを切った。




スタートの10番で、166ヤードの2打目を9アイアンで3メートル半につけて「あさイチバーディは久々。どれくらいぶりかな?」と、さっそくテンションアップ。
11番では78ヤードの2打目を1メートルにつける連続バーディも決めて流れをつかむと、その後も15、16番と、後半7、8番でも連続バーディを記録するなど、7バーディ、1ボギーの「66」。

首位の杉浦と2打差の2位発進した。

昨年は初日をトップで出て、3日目の単独2位で最終日最終組を争ったが、杉浦に敗れて初出場の一昨年に続く2年連続2位敗退。
「この大会もそうですけど、去年から勝てていないのも悔しいですし、結婚したタイミングでいいところを見せれていない」。

昨年11月に結婚した葵さんの存在を特に感じたのは今年2月の米二部ツアーで、肋骨を疲労骨折した際。
当初、痛みの原因がなかなか突き止められずにいた時も、何軒も一緒に病院をはしごしてくれたり、治療のスケジュールを組んでくれたり「めちゃくちゃ助かりました。いてくれなかったら、落ち込んでいた」と、感謝にたえない。

その後のリハビリ経過も順調で、先週から元メジャーリーグのイチローさんもしていた初動負荷トレーニングに着手。

年間2勝を挙げた一昨年時の自身のプレー動画と見比べることで、「明らかにトップの位置が違った」と、スイングの違和感にも気づけた。
手の位置を低くすることで安定を求めたつもりが、逆にミスにつながっていることを突き止めることもでき、PGAツアー選手のミン・ウー・リー(豪)のスイングも参考に、高い位置から振り下ろす形に修正。
「実践したらハマってくれた」と、さっそく結果につながっている。

パターも従来のピン型から、マレット型に変えたことで、「地面を押さえてしまう癖も、マレットだとポンと置いたらそのまま打つだけになりますので」と、1日24パットに収めて、好発進に成功。

東北福祉大4年の2022年に史上初のアマ2勝を達成した「日本オープン」と、翌年のプロ初優勝から年間2勝を飾った「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に次ぐ24歳134日での日本タイトル3種制覇なら、尾崎将司の27歳248日(※下記参照)を抜く最年少記録となる。

「自分が納得するゴルフを見せたい」。
2年連続の雪辱を払拭する偉業の先に、家族の笑顔が見えてくる。


※尾崎将司の3種制覇
1971年「日本プロ」⇒1972年「ゴルフ日本シリーズJTカップ」⇒1974年「日本オープン」=27歳248日

関連記事