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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2025
泉ヶ丘×パナソニック=W優勝は蟬川と武藤の2人だけ「なかなかレア」
大会は、ほぼ毎年、開催コースを転々としている。
今年の会場に選定された泉ヶ丘カントリークラブでも勝ち、本大会でのV経験もある選手は出場選手の中に2人いる。

1人目は蟬川泰果(せみかわ・たいが)。
22年の本大会で史上6人目のアマV(当時、現在は7人)と、一昨年の「関西オープン」でプロ初勝利(通算3勝目、現在はアマプロ5勝)を達成している。
そして、もう1人がベテランの武藤俊憲(むとう・としのり)。2012年の「関西オープン」で当時通算5勝目を飾り、2019年の本大会で同7勝目を挙げている。

出場資格の「大会過去5年の優勝者」は、今年がちょうど適用5年目の最終年で、「最後の最後に“こうなる”とは思わなかった。なかなか、レアですね」。
V経験のあるコースでの開催は感慨深いが、もう13年も前の話。
当時は、脂ののった34歳。
しかも、当時準メジャーと位置付けられた米・世界ゴルフ選手権「ブリヂストン招待」で、超難度の名門「ファイアストーン」を経験して戻った直後の優勝だった。
「帰ってきたら全部ドライバーで狙えるし、ただそれが嬉しくて。ちから技で無理やり攻略できただけ」と、懐かしむ。
47歳。
「飛距離はそこまで激しくは落ちていない」と、当時とほぼそん色ないが、問題は周りの顔触れ。
「先輩たちがだんだんいなくなり、若い子たちばかりになれば、必然的に(ランキングは)落ちるよね」と、ついていくので精いっぱいだ。
今週、最年少プロデビューを果たす加藤金次郎は15歳。
「うちの娘よりも若い…」と、つい苦笑も出る。
同時に、コロナ禍の20ー21年に14年間、守った賞金シードを失い、ここ数年、ACNツアー(チャレンジトーナメント)を主戦場にするようになって、若い子たちへの免疫も、だいぶできた。
最初の頃は、「ジュニアの頃、観に行った試合で武藤さんにボールをいただきました!」とか「テレビでいつも見てました!」とか、もてはやされるのは嬉しかったが、試合中は気を遣われすぎて、ちょっぴり腫物扱いが嫌だった。
「とっつきにくそうにされているのを感じていましたが、今は“これどう思いますか?”とか、質問をしに来てくれる子も増えて…」。
ベテランなりの努力のたまもの。
たとえばACNツアーでは、ほぼ全試合で乗用カートを使用するが、「僕がやります!」と、ガンとして始動のリモコン操作を渡さない後輩から強引に奪い獲り、「俺にやらせて!」と、先輩後輩なくふるまううちに、次第になじめるようになってきたという。
「そういう小さなことから輪に入っていきました」と、すっかり和気あいあいと戦っている。
現在、同ツアーのポイントランキングは24位。
「20位内に入れればQTも行かなくていいし、来年の(レギュラーツアーの)資格も得られる。最近の目標はそこなので。その肥やしにしているところ」と、前週は「ANAオープン」の予選会にも挑戦。
風の中、2アンダーの9位で突破し、本戦の予選も通過。
56位の結果は「“低空飛行”ではありましたけど、最終日もいつもの輪厚の風が吹いてるな、と言う感じでやれた。難しい条件で、少しは技を見せられた」と、胸を張る。
歴代覇者として臨む今季の4戦目は、久しぶりの2試合連戦だ。
「忘れられないように。今週も予選を通過して、1日でもいいから名前を挙げたい」などと抱負を語っていたら、スタッフが駆け寄ってきた。
この日の開幕前日は、大切なプロアマ戦。1人途中の棄権者が出て、欠員が出た場合のウェイティング選手で控えていた武藤にきゅうきょ、出番が回ってきた。
主催者さんから「ぜひ武藤さんを」という要望だったという。
「そうやって、呼んでいただけるのはありがたい」。急いで準備をし、インターバルの昼食会から合流。おもてなしに尽力した。
出身の群馬県から、ここ大阪府に移り住んできたのは、ここ泉ヶ丘カントリークラブで行われた2012年の「関西オープン」でのV直前。
「移動もしやすいですし、人も優しい」と、すっかり関西人になっている。
今平周吾(いまひら・しゅうご)や石川遼(いしかわ・りょう)ら、若い強豪をまとめて破った前回優勝の、2019年「パナソニックオープン」でいただいたV副賞「パナソニック製品一式」は、今も家族で大切に使わせてもらっている。
「特にパナソニックのテレビは我が家で一番の重宝です」と、改めて主催者に感謝。
クラブハウスに飾ってある、今年の副賞のひとつのマッサージチェアに特別に腰掛けさせてもらい、座り心地を“試座”した。
「…ずっと座っていたくなっちゃうw」。
2度目の獲得も、ちょっぴり夢を見た。














