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つるやオープンゴルフトーナメント 2013

ジャンボ尾崎は暫定首位タイに【インタビュー動画】

ツアー通算113勝の66歳が、この日は新人選手のような気分を味わっていた。前日初日は、ツアー史上初のエージシュートを達成した。「けっこう大きなニュースになったわけだし」。
数々の偉業を達成してきた大ベテランも、久しぶりに大記録を打ち立てて、戸惑った。

「いや、昨日の今日だからさ。どういう風にゴルフを展開していくか。自分でも考えすぎたっていうのかなあ」。

2日目は早朝7時40分からのスタート前には偉業を聞きつけ、駆けつけた大ギャラリーに囲まれて、主催者から金一封と、大輪の花束を受け取った。そのまま大勢のファンを引き連れて出ていった。

「良いスコアを出せば、お客さんが来てくれる。みなさん、待っていてくれたんだな」と、その期待の大きさを感じれば感じるほど、それに答えずにはいられない性分は、しかしこの日は朝からの強風で、「本当は、昨日と同じことをやれれば最高なんだけど。風の中のゴルフっていうのはもう少し自信満々じゃないと。考えたくないのに、いろいろ考えさせられる」と、顔をしかめた。

初日の62に、この日はたとえ2位と3打差の単独首位から出ても「今日は予選落ちをしたらどうしようか、と」。
ついそう言ってしまってから、「冗談だよ!」と一応は、うそぶきながらも「1日で、ゴルフは変わる。今日はそういうことも、頭の中をツーっと横切った」と、打ち明けた。

せめぎあう気持ちとの戦いでもあった。
出だしの10番で、ピンそばのバーディ発進。本来ならば、波に乗っていけるはずが、「昨日は良い感じで打てていたパットが今日は少しずつことごとく、ずれていったということだね」。
その不安は上がりホールでてきめんに出た。
6番では3メートル。7番では5メートルのバーディチャンスを外した。

8番では、フェアウェイから残り90ヤードの2打目に「フォローの風を意識しすぎてインパクトで緩めてしまったのは、かえすがえす残念」とグリーンに届かず、アプローチも寄らず、3メートルのパーパットを外した。
「あんな易しいホールでボギーとは」。

さらに最後の9番では、直前に6番アイアンから5番アイアンに持ち替えた打ち下ろしの第2打。
「自分では、相当に頑張って打ったけど。あのアゲンストの風の中でグリーンを捕らえられるだけでもいいな、と思ったけれども、まさかあんな難しいパッティングが残るとは・・・」。

ピン左の奥から長いバーディトライは、下り傾斜にふいの突風も重なって、大きくピンを行きすぎた。
3メートルのパーセーブを逃して「最後のボギー、ボギーは非常に残念!」と、この日は1オーバーに終わって悔しがった。

それでも、ホールアウトした中では単独首位(暫定は首位タイ)を死守して「肝心なことは、優勝争いをすること。プロにとって、非常に大事なこと。こういうことを積み重ねていけば、優勝も見えてくる」と気丈に、11年ぶりの通算114勝目を見据える。
ふと去来するのが優勝争いから遠ざかっていた日々の残像だ。「うまくいっていなかったときのことが。つい思い浮かぶが、それらを頭からぬぐい去って、勝つためにはどうすればいいかを考える。そういうことが出来なければ勝利と言うのはつかめないよね」と、自分に言い聞かせるように話した。

「やっぱり、プロは活字にならなければ何の意味もない。優勝争いできなければ、ゴルフをしてても面白くない」。
実に丸2年ぶりの予選通過は2006年の今大会で、いまは亡き杉原輝雄氏が記録した、当時68歳に次ぐ最年長記録だが、そんな記事には興味がない。むしろ「それは失礼な話だ」と、突っぱねた。
あくまでも、目指しているのは自身が持つ、55歳と241日を塗り替える、最年長V記録の更新だが「明日から、新しい体験。初体験だな」。
数々の金字塔を打ち立ててきた選手も新人のような心持ちで、決勝ラウンドを迎える。

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