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日本オープンゴルフ選手権 2010

ジャンボ尾崎は「力の限り、現役を通す」

今年初開催のチャンピオンズディナーはジャンボをはじめ、過去4度の中嶋、2度の谷口と片山、羽川、手嶋、深堀、Pシーハン、そして昨年の小田が参加
ここ愛知カンツリー倶楽部でこの日本オープンが開催されたのは、1971年。その年、ジャンボは残念ながら3位に終わり、藤井義将氏に称号を譲った。

しかし、同年の日本プロではツアー初優勝。

藤井氏は、“ルーキー”のジャンボに得意満面で言ったものだ。
「おい、尾崎、お前は小さいのを獲ったが、俺は大きいのを獲ったぞ!!」。

もちろん日本プロも日本オープンも、どちらの大会も、比べようもないビッグタイトル。それでも藤井氏は、前年に華々しいデビューを飾り、破竹の勢いの当時24歳への強烈なライバル心がゆえに、わざとそんな表現をしたのだろう。

当時のコースセッティングは、まったく覚えていない。「しかし、藤井さんのその言葉は覚えている。いや、一生覚えているだろうな」と、苦笑したジャンボ。それほどまでに、強烈な思い出だ。

あれから39年。今年、新たにベールを脱いだ舞台には、こちらもつい苦笑いが漏れてしまうほど。
「どんなに真っ直ぐ打てる選手でも、今週フェアウェイを捉えられるパーセンテージは、半分くらいじゃないか・・・」。

タイトに絞られたフェアウェイは、もともとの地形を生かした傾斜も相まって、どんなにナイスショットを打っても、わずかな不運なキックでラフに転がり込む危険を秘めている。
その難しさに、「いっそ、全部ラフにしても良かったんじゃないか」と、つい皮肉もこぼれ出た。

それでも、体調が上向きなのが、救いだ。
一時はひどい座骨神経痛に悩んでいた腰も、「痛みは半減以上。相当、上向きに近づいて、今まではどうしても手で打っていたスイングも、体を使って打てる。よーいドンの体勢が整ってきて、やる気も満々」。

この日水曜日は、クラブハウスで午後6時から、日本ゴルフ協会(JGA)主催の「チャンピオンズディナー」が催された。

世界メジャーのマスターズよろしく、「日本一のゴルファーの座を獲得した選手のみなさんの栄誉を、末永くたたえていくために」(JGA)という主旨で、今年から開かれることになった晩餐会の中で、先の世界ゴルフ殿堂入りの記念として、安西孝之・JGA会長から特製の銀皿が贈られて、本戦を前にますます気合いが入った。

「感謝することが一番似合わない男だけれど、とても感謝しています。遼に少し取られてしまったけれど、ファンのみなさんにも感謝している」と、謙遜とジョークを交えて改めて、喜びを語った過去5度のチャンピオンは、「この大会で優勝すると、この銀皿がついてくるけど、これで6回目の優勝ということかな」と貪欲に、そのためにも「力の限り、現役を通して頑張りたいと思います」と、63歳が情熱の炎を燃やした。

  • 乾杯の音頭は中嶋が感動的なスピーチを交えて・・・
  • 安西JGA会長(右)より贈呈された世界ゴルフ殿堂入りの記念銀皿に感謝の言葉を

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