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Philip Morris Championship 1999

昨年度チャンピオン、尾崎将司

昨年は、8打差をひっくりかえしてジャンボ尾崎は優勝をかざった。
 しかし、この大会に限らず、こんな、とんでもない尾崎の逆転勝利は、いくらでもある。
 到底、追いつけそうにもない位置から、最終日、猛然と追い上げて、勝利をさらう・・・そんな、奇跡の逆転劇は、ファンをひきつけてやまない、ジャンボ尾崎の魅力のひとつである。

昨年のこの大会、尾崎将司は、初日に75を叩き、70位タイのスタートだった。この時点で、尾崎の優勝を予想するものは、ただひとりもいなかった。
 2日目は68ストローク、37位に浮上して予選を通過した。
 3日目も68をマークして15位まであがってきたが、それでも首位の杉本周作との差は8つ。
 やはり、尾崎はノーマークだった。
 しかし、「絶対無理だ」と思われるような位置から猛然と追い上げ、絵に描いたような『まさか』のミラクル逆転劇を演じるのが、尾崎将司の真骨頂だ。

 最終日。
 前半を3バーディ、1ボギーで折り返した尾崎は、後半バックナインで爆発した。 11番から3連続バーディ。15番でもバーディを奪い、上位との差をグングン縮めていく。

 16番、219ヤードのパー3では、「あまり得意ではない」という下りのフックラインのパーパットを残した。
 「これには、プレッシャーがかかった。嫌な予感はした」というとおり、はずしてボギー。このホールで尾崎の進撃は止まったかに思われた。

 だが、奇跡はまだ続く。到底、そんなことで萎えてしまうような尾崎ではなかったのだ。
 「このボギーがオレを奮い立たせたからね」(尾崎)。
 17番でまた取り返し、迎えた18番、536ヤードのパー5。
 残り210ヤードの第2打を、4番アイアンでピンまで9メートルに乗せた。
 「このパットは、自分でも入るとは思わなかった」。
 沈めてイーグルでフィニッシュ。通算13アンダーでホールアウトし、26,145人のギャラリーを沸かせた。8打差の大逆転勝利。

 もっとも、尾崎の過去を手繰り寄せてみれば、こんな逆転劇はいくつもあるのだ。 1974年、全日空オープンでは、首位の青木功との8打差を、 1988年、ゴルフダイジェストトーナメントではブライアン・ジョーンズとの7打差を、 1990年、フジサンケイクラシックは8打差(3日間競技)を、 1996年の三菱ギャラントーナメントでも8打差を、それぞれひっくり返して勝っている。

 今年のヨネックスオープン広島では、首位との6打差を、9番パー4のチップインイーグルなどで劇的に埋め、プレーオフに持ちこみ勝った。

 尾崎はそんな勝ち方をしたときに、決まってこう言う。
 「ギャラリーを魅了するゴルフができたことに、非常に満足している。これからも人を感動させられるゲームをしていきたい」。

 ただ『勝つ』だけではない。 『魅力のある勝ち方、人を感動させる勝ち方』。尾崎は常に、そんな勝ち方にこだわって戦い続けている。

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