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関西オープンゴルフ選手権競技 2026

13年ぶりのビリケンスマイルは深くて優しい…。藤本佳則が史上3番目のブランクVを達成

プロ16年目の藤本佳則(ふじもと・よしのり)が、史上3番目のブランクV(※)を達成した。
奈良県出身。
「関西人なので。関西オープンで優勝できてよかったな」。
しかも、大会の生誕100週年での復活Vは格別だった。




長男の源都くん(小6)と次男の聖都くん(小5)はバスケの試合で来られなかったが、5歳の三男・義都くんが妻の妹さんに連れられ駆け付けた。

前回の優勝は、全員まだ生まれる前だった。
13年ぶりの通算3勝目は初のパパV。
「“頑張ってるお父さん”を見せられてよかったな」と、噛み締めた。


2011年にプロ転向したときから大阪・新世界の「通天閣」にいる神様・ビリケンさんに似ていると言われていた。
「人形をプレゼントしてくれる人もいます」。13年のブランクも、ファンは忘れていなかった。

大勢のギャラリーを背負って1差の4位タイからスタートしたこの日も、ロープの外から「ビリケン、頑張っとるがな!」との声。
「あかんくなっても応援してくれた方々に、ありがとうと伝えたい」。
Vスピーチで口角がますます上った。



100年の歴史を誇る屈指の難コースで4日間とも60台をマークしたのは、2位の大堀と2人だけ。
13年のブランクを感じさせない圧勝だった。

特に、2打リードで入った18番のティショットは圧巻だった。
「緊張した場面で、左からの風で。スライサーは嫌よ、気持ち悪い」。
それでも迷わず攻め抜きフェアウェイど真ん中。
「あそこまでドライバーで攻める人はおらんでしょ? あれがウィニングショットです」と、ちょっぴりどや顔。


「あかん時でもゴルフが好き、という気持ちは消えなかったので。努力できた自分がいたからきょうという日が来たと思う」。



東北福祉大からエースで君臨し、ルーキー年の2012年に「日本ゴルフツアー選手権」など通算2勝を挙げながら、2020ー21年に賞金シード落ちを喫した
「左肩と左親指。痛くても、痛いと言えない。痛いのに、ずっと試合に出て、ゴルフもパラパラ。戻ってくるのは思っていた以上に大変でした」。

体を治し、阿河コーチとスイングを再構築しながら、チャレンジトーナメントのACNツアーでプレーを続けた4年間。
「レギュラーでやっていた自分が毎週、二部ツアーでやっている。不甲斐ないな、と思ったり。成績が出ないのは、メンタル的にもやっぱりしんどい」。

辛いことだらけの中にも発見はあった。
「ACNツアーにも、良い選手は一杯いる。両方出ているからわかる。レギュラーツアーとの差は確実に縮まっている」と、明日を夢見る若い才能に紛れて自身も発奮。
昨年のACNツアーポイントランキングで18位に食い込み、今季復帰にこぎつけた。

今週、キャディをしてくれた皆本祐介(みなもと・ゆうすけ)も、実はACNツアーで戦いを続ける選手だ。



大学の2つ後輩だが、親しく話すようになったのも、藤本がACNツアーに降格してからで、日程が被っていない週を条件に、昨秋からキャディを依頼。

「彼も上手いし、優勝してほしい選手。僕のゴルフを見て何か気づいてくれることがあればいいな」というひそかな願いもあり頼んだそうだが、「きょうも、彼の“珍プレー”があったり。今までこんなに笑いながらゴルフをやったことがない」。


ショットして笑い、パットして笑った。緊迫のV争いでも笑顔が絶えなかった。
「彼と笑いながら4日間プレーできたのが本当によかった」と、心の底から感謝した。
そのかたわらで、「きょうも本当に勉強になることばかり。自分も藤本さんと一緒にレギュラーツアーで戦えるようになりたい」と、皆本の思いも新たに。

開催40年(回)以上の大会に付与される暦年プレミアムポイントの525ptを獲得して、ポイントランキングは1位に。
「ぜんぜん、そんなスケジュールじゃなかったので。どうしていいかわかんない」。おどけて浮かべたビリケンさんスマイルは、どん底に落ちる前よりうんと深くて優しかった。



<ブランク優勝記録>
1位 長谷川勝治(13年82日 1980年「静岡オープン」~1993年「よみうりサッポロ」)
2位 横田真一(13年19日 1997年「全日空オープン」~2010年「キヤノンオープン」)
3位 藤本佳則(12年26日 2013年「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Central」~2026年「関西オープン」)
4位 湯原信光(10年51日 1992年「ヨネックスオープン広島」~2002年「久光製薬KBCオーガスタ」)

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