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5冠の比嘉一貴が喜びと戴冠までの苦悩を吐露 / 5日・ジャパンゴルフツアー表彰式

2022年度の全日程が終了した5日、都内のANAインターコンチネンタルホテル東京で各部門別ランキングの受賞者を表彰する「ジャパンゴルフツアー表彰式」が行われ、比嘉一貴(ひが・かずき)が「最優秀選手賞(MVP)」と「賞金ランキング賞」「平均ストローク賞」「パーキープ率賞」「ゴルフ記者賞」の5冠を達成。 ツアー部門別データ 2022



前日に終えたばかりのシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で、今年最後の勇姿を見守ったご両親共に「息子は家でも口数が少ないほう」と気にしていたが、重圧から放たれた寡黙な史上最小キングは、ハレの舞台で饒舌だった。


「プロを目指してゴルフを始め、トーナメントをテレビで見て賞金王を夢見ました。実現できて嬉しい気持ちと、支えてくださったたくさんの方々に、感謝の気持ちで一杯です」と、喜びを語り、今年のベストショットとして、今季の全4勝のうち、「関西オープン」に続く2勝目となった6月の「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で、バーディ決着の契機を作った最後18番の2打目を挙げた。


5打差を逆転し、3勝目を飾った3ツアー共催の「Shinhan Donghae Open」や、決定打とした4勝目の「ダンロップフェニックス」など数々の名シーンの裏側で、ひそかに抱えた悔恨も吐露した。


当時アマの蟬川泰果(せみかわ・たいが)に敗れた「日本オープン」は、「プロの意地を見せることができなかった。タイトルを守れなかった。他のプロのみなさんに顔を合わせることができないと思った。家を出たくなかった」などと当時の苦悩を明かし、翌週の「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」は這う思いで会場に来たものの、賞金2位の星野陸也が優勝。


「今度は、抜かされるかもしれないという恐怖が内臓に来たのか、何を食べても下してしまう。体重が4キロ減った」と、重圧を振り返った。


「トレーニングや、練習量を効率的に減らしたことで、体に痛いところはどこもないが、精神面ではまだまだ。オフに“食トレ”したい」などと、さっそく課題を掲げたが、「その中でも結果を残すことができた。成長できたかな、という思いと、賞金王として成り上がれたということで、そういう字になる」と、激動の今年1年を「成」の漢字1文字で表した。


かねてより目標にしていた欧州ツアーのQT受験を断念し、今年は、賞金王獲りに邁進してきた。

「でも、少しだけ後悔しています」と、終盤に未練を明かしていたが、折しもこの日は米・欧・日の3ツアーが、戦略的パートナーシップの締結を発表。

JGTOの賞金ランキング上位3人に欧州のDPワールドツアーの出場権が与えられることが分かり、「今年は全英オープンを合わせて3試合に出場し、やれるのではないかという手応えを得た。来年、また出られる喜びと楽しみがある」。

ハレの日にさっそく世界舞台に目を向けた。


そのほか、賞金2位の星野陸也(ほしの・りくや)が総合力を示す「メルセデス・ベンツトータルポイントランキング賞」と「バーディ率賞」「サンドセーブ率賞」を受賞。



プロ2季目の桂川有人(かつらがわ・ゆうと)が「最優秀新人賞 島田トロフィ」と「パーオン率賞」と、ショット力を示す「トータルドライビング賞」に輝いた。


また、プロ10年目の大堀裕次郎(おおほり・ゆうじろう)がABEMAツアー賞金ランキング賞を獲得。稲森佑貴(いなもり・ゆうき)は7季連続7度目のフェアウェイキープ1位となった。


<2022年受賞者一覧>
・最優秀選手賞 比嘉一貴(初受賞)
・賞金ランキング 比嘉一貴(初受賞)
・メルセデス・ベンツトータルポイントランキング賞 星野陸也(初受賞)
・最優秀新人賞 島田トロフィ 桂川有人(初受賞)
・ABEMAツアー賞金ランキング賞 大堀裕次郎(初受賞)
・平均ストローク 比嘉一貴(初受賞)
・平均パット賞 チャン・キム(初受賞)
・パーキープ率賞 比嘉一貴(初受賞)
・パーオン率賞 桂川有人(初受賞)
・バーディ率賞 星野陸也(初受賞)
・イーグル率賞 久常涼(初受賞)
・ドライビングディスタンス 河本力(初受賞)
・フェアウェイキープ率賞 稲森佑貴(7シーズン連続7回目)
・サンドセーブ率賞 星野陸也(初受賞)
・トータルドライビング賞 桂川有人(初受賞)
・特別賞 蟬川泰果(初受賞)
・ゴルフ記者賞 比嘉一貴(初受賞)



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