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マンシングウェアオープンKSBカップ 2008

谷原秀人が完全優勝

3打差で、逃げ切った18番グリーン。ウィニングボールを満員のスタンドに投げ込んで、いったんアテスト場に向かう道すがら、応援に駆けつけた内藤雄士コーチの姿を見つけて思わずボヤいた。

「俺ってほんっと、ヘタクソだわ」。

開幕直前に、その内藤さんから受けたアドバイスがハマった。
「テイクバックで右腰が開きやすい。我慢して、止めるように打とう」。
試してみたら「すぐに出来ちゃった」。
それでも、「いきなり結果が出るとは思わなかった。来週くらいに、良くなればいいね」と、話していた。

初日首位タイと思いのほか好スタートを切って、そのまま首位を走り続け、しかも3日目には2位に6打差がついていた。

自信満々で「明日は、もっと離してやろうという気持ちでやる」と公言したが、最終日はそれまでの3日間と、まったく逆向きの風に惑わされた。
そのために「セカンドショットで良い位置につけられなかった」。
ピンを大きくオーバーさせたり、難しいラインにつけたり…。
2つのボギーは、いずれも3パットに「良くないですねえ」と頭を掻いた。

完全Vとはいえ、一時は2打差まで詰め寄られる展開に「冷や冷やもんでした」と胸を撫で下ろしたチャンピオンは結局、この日1オーバーに「リーダーボードを見たときに、僕だけ青字というのがショックだった」と、苦笑した。

近県の広島県出身。この日、詰めかけた1万1410人の地元ファンを前に、優勝インタビューで何度も繰り返した。
「今日は、ほんっと情けない」。
その言葉に、父・直人さんも容赦ない。
「今回のは、完全優勝に入らない」と手厳しく「あいつは気負うと決まってミスする。気の緩みがあったのだと思う」。

「秀人くんは、ゴルフを始めたのが小6と遅かったのに。ここまでやるなんて、天才でしょう?」とすかさずフォローしたのは直人さんとともに、応援に駆けつけた今田竜二の父・隆史さん。
先の米ツアーで初優勝をあげたばかりの息子を持つ父親の言葉にも、直人さんはガンとして首を振る。

2005年の本格参戦も打ちのめされて、すぐ翌年に帰国した米ツアー。
本人は、再チャレンジの気満々だが直人さんは、「あいつに世界はまだまだです。行ったら、また打ちのめされるに決まっています」。
谷原も、自覚しているからこそこう思う。

「こんなゴルフじゃまだまだです。まだまだ技術を磨いていかないと…!!」。

反省を口にしつつ、きっぱりと頂点を見据えた。
今季、一番の目標は自身初の賞金王獲りだ。
「僕は、手応えがなければ言いませんから。早いうちに1勝出来たから。これからもバンバン行く」。

メジャーの舞台も待っている。
翌26日月曜日は、茨木カンツリー倶楽部(大阪府)で全米オープンの最終予選が行われる。1日36ホールの長丁場は、出場12人中(25日現在)上位2人に権利が与えられる予定だ。

またこの優勝で、全英オープンの日本予選ランクで有資格者をのぞいたランク1位に躍り出た。
「メジャーには毎年出たい。必ず、レベルアップできる課題が見つかるから」という谷原が本格的にゴルフを始めたころ、通い始めた地元・広島県のゴルフ場で、すでに練習していたのが今田だった。「中学時代にハンディ3。すげえ人がいると思った」という谷原にとって、もっとも身近でありながら、遠くあこがれの存在になった。

隆史さんがしみじみと言った。
「秀人くんと竜二が、メジャーの舞台に立ってくれたら嬉しい。竜二にも刺激になるし、相乗効果です」。
“ご近所プロ”が、世界に羽ばたく…!!

  • 3打差の逃げ切りも薄氷を踏む思いに、優勝スピーチでも反省の言葉ばかりが…
  • 大会主催の(株)デサントの中西悦朗・代表取締役社長より受けた、真鍮製のペンギンズカップにずっしりとした重みを感じて
  • ホールアウト後、待ち構えていた仲間に思わず「俺ってヘタクソ!」と苦笑い(右端が内藤コーチ)

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