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ジーン・サラゼン ジュンクラシック 1999

飯合の前半9ホールは、パープレーが続き、我慢を強いられた。

「ジャンボに先に鬼のゴルフ(1番、2番、4番でバーディ)で行かれちゃったし、自分のゴルフがぜんぜんできなくて、つらかった。でも、いずれ1個くればいいかなって、思ってやってたのが、逆によかったのかな。きょうはとにかくジャンボについていくんだ、変なボギーを打たなければ、1打差2打差でついていけるっていいきかせながらやっていたね」

 だが、「鬼のゴルフ」をしていたはずのジャンボ尾崎が、5番、188ヤードのパー3でバンカーに失敗して、ダブルパーを叩いた。
 それは、飯合にとってもショッキングなシーンだった。
「あれには、きのうの18番の“8”と同じで、とてもドキッとした。あのへんで、オレの気持ちも重くなってしまうのかな、と思ったね。
でも、前の組(葉彰廷、宮瀬)が異常に伸びていたから、ジャンボと『追いかけていくしかねーな』って言いながらやっていたから、プレッシャーのかかるヒマもなかったんだ」。

9番で飯合は、待望のバーディを奪う。
「ぜったいに2オンさせようと思ってやったら結果が出せた。あのバーディで前向きな気持ちになれたんだ」という。

 14番でバーディを奪い、通算12アンダーとし、その後「15番あたりからちょっと、逃げに入ってしまった」と、17番ショートでボギー。通算11アンダーはほかに同組のジャンボ尾崎と前組の宮瀬がいた。
 最終18番。グリーン上からは、幾度も大きな歓声が聞こえてくる。「歓声というのは、非常にドキドキさせるもんなんです。宮瀬が取ったのか、ととても不安になったよ。だけど、もう、相手はとにかくジャンボだけだと思ってやったから、それがよかった。
 グリーンまできて、ボードを見たとき、宮瀬は11(アンダー)のままだったからよけい嬉しくなっちゃってね。
 しかし、“歓声”というのも、意外と手(ゲームのアヤに非常に大きな影響を与えるもの)なんだね」

 18番はピン奥8メートルに2オン。これを2つで沈めて、宮瀬とのプレーオフに入った。
そして、1ホール目に宮瀬を下し、ツアー11勝目を手に入れた。

「45歳での優勝、しかも(総距離が)7300ヤードクラスと長いコースでの優勝だから、よけいに嬉しいね。いつも春先に、(優勝の)チャンスが来ると、年間36試合の中のひとつで勝つことの難しさを実感する。勝つためには、いかに勇気を持てるか、が勝負なんだ。
 勝てるときに勝っとかないと、門はひらかないってことを、ほんとうに痛感するよ。 今回の優勝で、また弾みがついた。後半戦がとても楽しみだ。
ぼくはこの優勝でホっとしたりなんかしないよ。
 まだまだ、(尾崎)直道(現在、賞金ランク3位)なんかも追っかけていかないといけないんだからね」

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