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久光製薬KBCオーガスタ 1999

プロ7年目の兼本貴司

 5バーディ、2ボギーの3アンダーで迎えた最終9番ロング(この日インスタート)。プロ7年目の兼本貴司は、ピンまで「7歩(約6ヤード)」のイーグルパットを、沈めてイーグル。5アンダーまでスコアを伸ばして首位発進だ。

 「ひとつまえの8番(ショート)で、しっかり打ったら入る、短い(4メートル)上りのバーディパットが打てずにショートしたんです。その前の7番では風の読み間違えでクラブ選択をミスしてボギーとしていたし、頭にきちゃって。最後はぜったい取ろうと思っていたら、イーグルが入っちゃいました。
 3番ホールあたりから風がかなり出てきてはいたんですが、2つのボギー(11番、7 番)は、気の緩みからですね。ショットは、90点の合格点をつけてもいいくらいの出来でした。

 いまスイングを1から直しているところなんです。吉村金八プロに見ていただいているんですが、お互いに気にいらない部分がありまして、それを調整中なんです。
 ぼくはもともとオープンスタンスで左に打ち出すタイプだったんですが(フェードボール)、金八さんに言われて、クローズスタンスでドローを打つうち方に変えたんですね。そしたら、ドローがかかりすぎてしまってしばらく予選落ちが続いた(日本プロ〜ミズノオープン、6試合)んです。ぼくにはその打ち方が向いてなかったんですね。

 ですからもういちど、右に向いて左に打ち出すショットに直して、いまそれにようやく慣れてきたって感じなんですかね。距離も15ヤードくらい伸びてるみたいです。

 あとスリークォーターの力で打つショットをすることですね。というのも、100の力でショットすると、ヘッドが走らないで球がよじれちゃうんです。でも、トップでもスリークォーター、インパクトでもスリークオーターというふうに均等な力で打つと、球がよじれないし、プレッシャーのかかるときにも、風に負けない重い球が打てるから。
 予選落ちが続いたとき、自分なりに考えたんです。同期の田中君や、細川君、それにジャンボさんなどほんとうに強い選手と、自分の違いはいったいなんだろうって。

スイングや技術の面だけじゃない。メンタルや、全般的な部分での違いです。一生懸命観察したんです。まだそれに対する考えはまとまっていないけど、スイング面に限っていえば、やっぱり自分なりに自信のもてる球筋を持ってるかどうかじゃないかと。プレッシャーがかかる場面でも思いどおりの球が打てるかどうか。
 たとえば、左右にOBが広がっているとして、でも、『オレの球筋はぜったい右には行かないんだ』というような確固たるものがあれば、左にだけ気をつければいいというふうに、ひとつ不安が減るじゃないですか。みなさんはいつでも、球のつかまり具合が非常にうまいんですね。

 でもいまの自分の場合、球のつかまりが悪くて、自信がないから『こっちも危ない、あっちも危ない』って気持ちになってしまう。『両方打たない』という自信があれば1番いいんでしょうけど…。どうやったら重い球が打てるのか…いまとても焦っています。早く結果を出したくて…。
 でもとにかく、明日以降はまた、きょうのことは忘れてプレーするしかないですよね。過去にこだわっていたらボギーとかダボとか打ったときに、貯金(アンダーパー)のことを思い出してしまいますから」 

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