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HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2016

賞金レースに割って入った稲森佑貴(いなもりゆうき)は「最後に勝つというのをやってみたい」

3日目は、賞金1位の池田(左)とウェアの色がかぶってものほほん
賞金1位と2位が激突した最終組で、未勝利の22歳がふてぶてしいまでの存在感を示した。
「僕がお2人の賞金レースに割って入った形も、緊張したのは最初くらい。そのあとは淡々と、むしろワクワクしていた」と、笑ってのけた。

今週、計測のドライビングディスタンスも3日目平均258.33ヤードの55位にとどまるなどティショットでは、池田にも、谷原にも軽々と置いて行かれて、常にセカンドオナーも「そんなの、分かりきっていること。もう慣れっこです」と、気にしない。

むしろ、長いクラブで誰よりも多くのチャンスを作った。499ヤードと距離の長い10番パー4では、2打目が237ヤードも残った。しかし「スプーンでうまいことフェードが打てて。自分からはピンのフラッグしか見えなかったけど、歓声で近くに寄ったのかな、と」。
左手前の傾斜ではねたボールは、本人の想像以上に近くて1.5メートルのチャンスも難なく沈めて単独首位に躍り出た。

追われる立場になっても、そのプレッシャーすら「鬼ごっこみたいで面白い」と、むしろ無邪気にその直後に11番で、20メートル超を決められても「谷原さんは、神掛かってる。あやかって、お賽銭入れないと」とひるむどころか、「正直、あんなプレーを見せられワクワク。まだ3日目だけど、これが最終日だったらと思うと僕の中ではワクワクが止まらなかった」と谷原が、「なかなか頼もしい」と、分析したとおりの強心臓ぶりである。

終始、リーダーボードから目を離さず「ボードに載れるのは、素直にうれしい」とこれまたむしろその気になって、すぐに12番では6メートルのスライスラインを入れ返した。502ヤードとこれまた長い13番のパー4では懸命にクリークで、今回ばかりは2つで乗せきれなくても、したたかに寄せてパーを拾った。

先週は、片山晋呉がやはり1日に、3種類のグリップをグリーン上で打ち分けたが稲森も、「下りの長いスライスはクロス。きつい上りや平らでも、距離が長い場合は順手でアプローチの構えみたく」と器用に、この日はボギーなしの66で回って「このコースでノーボギーは自信になる」と、胸を張った。

今年もキャンピングカーで乗り入れた総武は、3度目の挑戦でやっとコース攻略をつかんで決勝ラウンドに進むと「長いコースなので。明日も長い番手にお世話になるけど、明日も自分を見失わないようにしたい」と自身2度目の最終日最終組こそは、再び賞金1位と2位に挟まれまた誰よりも遠くから、ピンをにらんでチャンスにつけるつもりだ。

「明日も影のプレーヤーとして、賞金王争いを間近で見ながら勉強する」と殊勝に言いつつ、「のほほんと、でも僕はここにいますよと。存在感だけは出したい。賞金レースをしている2人の中で、勝つというのもやってみたい」。
なんだかんだ言っても目標は、あくまでも初Vだ。22歳は最終日も賞金1位と2に挟まれ最後は我こそが、主役をとるつもりだ。

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