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日本オープンゴルフ選手権 2016

小平智が勝者の晩餐に感激

日本一のタイトルが、もたらしたもの。今年は、若き覇者として、錚々たる面々の真ん中に陣取った。これぞ81年もの歴史に名を残した重さだ。あれから1年を経て、小平はそれを改めて味わっている。

12日水曜日の夜に、ここ狭山ゴルフ・クラブのレストランで厳かに開催される。このタイトルを得たものにしか届かない招待状。
「チャンピオンズディナー」の参列を初めて許された。ここに初めて平成生まれのディフェンディングチャンピオンがいよいよ席を並べることになり、「嬉しいけれど複雑です」。ウェルカムドリンクも、ソフトドリンクをチビチビやって、「あれ、智、呑めないんだっけ?」。
「いや、呑めますけど今日は凄く緊張していて・・・」。

当たり前だが最年少で、加わることになった晩餐は「僕よりも年下が誰もいない。早く誰かに入ってきて欲しい」と、カチコチだった。
前菜の「スモークサーモンのリエット」もメインの「埼玉県産白蕪のポタージュ」も、「栃木県産牛フィレ肉のグリル 赤ワインソース 白トリュフ添え」も、うまく喉を通らず味がなんだか分からない?!

しかし、こんな緊張感は、何度味わってもいいものである。
「一昨年に惜しいところ(2位タイ)まで行って昨年は、勇太さんを破って、リベンジが出来た。凄く自信になった」。

周囲の自分の目を見る目も変わった。「あのあとテレビで見たよと言って、ファンの方も増えて嬉しいし、力になる」。
やっと手にしたビッグタイトルは、小平の目をこれまで以上に海外に向かわせた。

今年は自身度目の全英オープンにも出場し、メジャーや米ツアー挑戦の夢が、ますます大きくなった。現在、すべての部門別をポイント換算して算出するユニシスポイントランキングは4位。
総合的に、高いレベルで戦いながらも今季はまだ未勝利。
「調子は相変わらずいいのに、結果が出ていないのは、自分でももどかしい」と、そろそろ我慢も限界だ。

連覇を狙う今年も、日本一を決める舞台は一筋縄ではいかない。
9月の空き週にも、コースを下見に来たが「あのときとは全く違うコース。ラフがえらい伸びていて、ハンパじゃない」と、今年はたとえ100ヤードからでも、刻まざるを得ない場面が出てくるのではないか。

「4日間、パープレーさえ出来れば優勝争いが出来るのではないか」。
500ヤード近くもある4つのパー4(3、7、10、18番)も、めっぽう手強い。
昨年は、10アンダーを出して勝ったばかりに大会主催のJGA(公益財団法人日本ゴルフ協会)を、本気にさせてしまったのか。「お前が10アンダー出すからだ」と他の選手たちから猛抗議を受けて、申し訳ないやらそんなことすら、ちょっぴり誇らしいやら。

今年も相変わらず難条件も、今季これまでランク1位の「トータルドライビング」が誰よりも武器になる。
「今年は、どれだけフェアウェイに置けたかで、結果が変わる。ドライバーには自信がある。あとはダボを打たないこと。3パットをしないこと」。飛んで曲がらないショットを駆使してリョウとヒデキとアダムの競演で盛り上がる今年こそ、昨年覇者の存在感をアピールしたい。

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