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ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント 2025

やはり小平は、誰かのために戦うときほど強い

やはりこの選手は誰かのために戦うときほど強い。
小平智(こだいら・さとし)が国内ツアー通算8勝目を達成した。

今季最高のV賞金4260万円を争い、「誰が一番強いんだ」と銘打った試合で鮮やかに逆転劇を演じたが、「全然(自分が強いと)思わない。相変わらずヘタだな、と思っています」。
米ツアー1勝の35歳は、7年ぶりの復活Vにも謙虚だった。

プレー後の対戦で盛り上げてくださった女子プロレスのみなさんと

2日目の「64」で一度首位に立ったが、3日目は「70」と伸ばせず、最終日は最終組の4つ前で、3打差の5位タイからスタート。
前半3つのバーディを獲ったが順位は分からなかった。
「上は20くらい行っているのか」。
手探りで入った後半11番でリーダーボードを確認して「スイッチが入った」。
通算21アンダーで、当時トップにいた岩田寛(いわた・ひろし)は、練習仲間で大好きな先輩。

「寛さんのおかげでやる気が出ました」と、12番から4連続バーディで一気に抜け出すと、265ヤードを3Wで3メートルに乗せた17番パー5のイーグルが1差逆転の「決め手」に。

    2018年の「RBCヘリテージ」での1勝を機に、6季戦ったアメリカから撤退を余儀なくされて2季目。
    「アメリカでは自分のことばかりで気づかなかった。僕は、いろんな人に恵まれている」。復活にもがく中で痛感したのは、支え応援してくれる人のありがたみだった。

    今季から専属で担いでくれる市原キャディはツアープロの道を諦めてでも、「智の力になりたい」と人生を預けてくれた日大同期の大親友だ。
    「彼と一緒に勝ちたいと思っていた。トロフィーじゃなかったけど、兜で一緒に写真が撮れた」。大会ならではの記念撮影で喜び合った。


    負けたのに真っ先に駆け付け「俺が泣きそう」と、抱きしめてくれた岩田。
    「僕も泣きそうになりました」と、感激。


    後輩の大堀裕次郎(おおほり・ゆうじろう)が届けてくれたシャンパンで美酒に酔い、「日本に帰ってきて、みんなの温かい思いやりに触れて、支えられて生きている。この優勝は、自分だけの力じゃない」。
    仲間の存在が喜びをよりドラマチックに。

    裕次郎もありがとう

    最愛の父、健一さんはもういない。
    その分だけ母・裕子さんには余計に心配かけた。
    「心配性すぎて、たまにうっとおしい、と当たってしまったこともありましたけど。一番に伝えたい」。
    ありったけの感謝をささげる。


    「思い切りの良さが持ち味と思っていたけど。アメリカの難しいコースでミスが積み重なると、自信もなくなりますし、怖さにつながっていく」。
    かつての自分を思い出させてくれたのは、松山だった。

    今夏、励行した1か月の米キャンプに3日間、駆け付けてくれ、「一緒にラウンドして、ゴルフして、飯食って、いろいろスイングの話をしてヒントをもらった。これまでは、これでいいかという気持ちがあったけど。英樹は全然違って、そこがターニングポイントになった」と、感謝。
    「昔はこうでしたよね」と、松山が指摘していたのは「これだった」と、確信したのは実はプレーオフに備えていた練習時。

    「プレーオフになっても勝つ自信はありました」。
    松山がもたらした復活V。
    「アメリカに行って本当によかった。早く英樹にも報告をしたかった」。
    その思いが何よりの力になった。

    今季最高のV賞金4260万円を獲得し、賞金ランキングは一気に6位に浮上したが、「やっぱり捨てきれない」と、PGAツアーのことで頭が一杯。
    合宿のわかれ際に松山にも伝えてきた。
    「すぐ戻ってくるから待っていて、と」。
    今年は、何があってもまたQスクールから再挑戦すると決めている。

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