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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2015

松山英樹は初日2アンダー

2年ぶりの直接対決で、ツアー48勝の大御所を、改めて惚れさせた。「俺も、あの体のきつさを味わっているから。よく分かる」とは、中嶋常幸。「イギリスで戦って、日本に帰って。俺のときは、新潟だったかな?」。スコットランドから帰国したばかりの時差惚けと、気温差と。

松山は「暑さより、湿気のほうがしんどかった」とこぼした。「時差でしんどいところに、暑さと湿気で疲労はピーク」と。
「分かるよ」と、中嶋。
「今日の松山は、パフォーマンス的には、1割も出せてないと思うし、そういう辛さというものを、自分も味わってきたので」。

それでも目の前の若武者は、コースでそんな素振りを一度も見せなかった。「立派だと思う」と、中嶋には感じ入るものがあった。
むしろ、駆けつけた3000人余のギャラリーの歓声に、笑みさえこぼして応えてみせた。前半は、「ラフの違い。先週までの洋芝と、野芝と。やはり、ラフに入ったときの、セカンドショットは大変でした。フェアウェイも、先週の堅いところから、柔らかいところに来ているので、そこの距離感が合ってない」とボギーが先行する苦しい展開にも、辛抱強く耐える姿。

「ひとこと言えるのは、中嶋は彼のゴルフに魅了された、ってこと」。たとえそれが2アンダーと、スコアは平凡であっても「片鱗は見せてくれたから」。中嶋も、感心しきりの初日のプレーぶりだった。

この日は、スタート前の練習場から黒山の人だかり。大勢のファンに見送られて出たスタートの10番ホール。「慣れてないので緊張しました」とは、これまた意外にも「海外では基本的に、自分がメインではないので」。米ツアーの大ギャラリーも、自分目当ての客ばかりではない。それが、この日はティーインググラウンドに現れた瞬間に、大歓声で迎えられた。

第1打は選手コールもかからぬうちに、松山が一歩前に進み出ただけで、大きな拍手がわき起こった。
「アメリカでは、ここまで全員が応援してくれるような立場ではないので。その差を凄く感じて、久しぶりに緊張しました。嬉しかった」と初々しく、「福島の人の前で、プレーがしたい」と厳しいスケジュールも承知で出場を決めた大会で、良いところを見せたいと疲れた体を懸命に奮い立たせた。

「2オーバーまで行ってしまった時にはどうしようかという感じでしたが、我慢してアンダーパーに持っていけた」。最後の9番では5メートルのバーディチャンスでしっかり締めくくって「これが明日につながればいい」。
最後まで全力で戦う姿勢を、子どもたちにも見せられた。この日、大ギャラリーに紛れて、渾身のプレーを見守ったのは、東北の子どもたち。
「ゴルフに興味を持ってもらい、僕のプレーに何か感じてくれるものがあれば」と、松山が招待した。
この日、行われた「松山英樹ジュニア・インビテーション」は、松山の所属先であり、日本開業10周年を迎えるレクサスのサポートにより実現した。
ホールアウトしてすぐに、小中学生20人の元に駆けつけ疲れもみせず、子どもたちと触れ合いの時間を持った。
サインに応じたり、記念撮影をしたり、子どもたちからの一問一答で、和気藹々とした時間を過ごした。

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