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つるやオープンゴルフトーナメント 2013

ジャンボ尾崎が「ここに居られて良かった」

今週、最後の力を振り絞った。最終18番。打ち上げの2打目は、ラフから球が上がらず、チョロのようなショットになったがその分、3打目に魅せた。サンドウェッジで、ベタピンのパーセーブだ。

大歓声に包まれて、わざとヨレヨレポーズで照れくさそうに手を振った。
「貯金を2つほど残して終われた。俺でもさすがに全部、使い切れなかったな」と、破顔一笑。

66歳が62をマークして、史上初のエージシュートを達成したのは、大会初日。2位に3つも差をつけて、単独首位に立った。自身が持つ55歳の最年長V記録の更新を、狙わずにはいられなくなった。

結局、日に日に順位を落として51位タイに終わった。
「ハートはあるけど、体がついてこなかった」と、苦笑した。
持病の腰痛にも耐えた72ホールだ。
歳には勝てなかったが、初日の偉業を駆使して通算スコアは2アンダーで踏みとどまった。

4日間を戦ったのは、約1年半ぶりだ。
また、4日間をアンダーパーで終われたのは、2009年のカシオワールドオープン以来だ。
60歳を超えても、なおシニアツアーへの参戦を頑固に拒み続ける。
こだわり続けるレギュラーツアーでこうしてまた、大ギャラリーの声援を受けて、優勝を視野に戦うことも出来た。

「ここに居られて、良かったと思う」と、しみじみと言った。
「声援に応えることが出来なくて、それは残念だったけど。4日間、歩けたことも良かった」と、笑った。

特別表彰のために、出席した表彰式。満面の笑みで、若きヒーローに歩み寄った。年齢差は45歳の感動シーンだ。
その手を力強く握りしめて「よくやった」と、21歳を褒めた。
「可能性のある選手だから、驚きもしなかったが、それにしても強かった」と絶賛した。
松山の、圧巻の4連続バーディにも目を細めて「プロのゲームだ」と、ねぎらった。

「俺の初優勝は、日本プロ(71年)だった」と、若いころの自分に重ねて、期待を託した。
「松山は、開幕ダッシュをやれたらいいね。そういう可能性もある選手だ。彼が頑張ってくれないと、日本ツアーは面白くない」と、思うにつけてもちょっぴり寂しいのは松山の出現が「俺が弱くなってから」ということだ。

新鋭と、自分もしのぎを削りたい。
「気持ちはあっても、体が言うこときかない。健全たる体じゃないから・・・。不健全な肉体は、トラブルを招く」と、ぼやきながらもこの人の欲はまだまだ枯れない。
「ああいうスコアはそうそう出ないだろうけど、もう少し良いゴルフができるようにしていけば、今後につながる」と、諦めない。

まだまだ若手の壁でありたい。
「ジャンボここにありというのを見せたい」。その執念で、試行錯誤はまだ続く。
「気持ちとしては、不本意だけれど良い1週間。まだまだ、クラブの調整は必要だ。シャフトももう少し、柔らかいのがいいな」と、早くも次週の策で頭の中は一杯だ。

  • イーグル賞で、列席していた篠崎紀夫(右)に「ジャマだ」と一喝。若き精鋭と水入らずの2ショットに収まったジャンボ
  • 西村文延大会会長(左)から、史上初のエージシュートを達成したお祝い金を受け取ると・・・
  • そのまま風のように、その場を立ち去ったジャンボ。晴れ舞台は若きスターに潔く譲った

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