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三井住友VISA太平洋マスターズ 2023

18歳の“クラチャン”から12年「また賞金王を狙いたい」今平周吾が御殿場で拓いた新境地

今平周吾(いまひら・しゅうご)が、若いレースに割って入った。
今季の2勝目で、前週の9位から賞金ランク3位に浮上し「もう1ミリもチャンスはない、と思っていた」という3度目の戴冠へ。
18、19年に続く賞金王もにらめるビッグな今季2勝目を掴んだ。



2011年のプロ転向からひそかに渇望してきたここ御殿場での1勝でもある。

以前は、家族ぐるみで太平洋クラブのメンバー。

本大会も、よく観に来た。

「昔は招待選手でガルシアとか、クラークとか来ていて。この試合に出たいな」と、子どもながらに憧憬。


全国“太平洋クラブ”の1位者を競うクラブ選手権に出場したのは、プロ転向直前の2011年だ。

その優勝者の、いわゆる“クラチャン”には、本大会への出場資格があり、今年はネバダ州立大学在学中の森山友貴さんもその資格で出て、ベストアマチュアを獲得している。


新旧クラチャン。森山さんもおめでとうございます


今平も、米国留学から帰ってすぐのころ、「1回だけ」と決めた挑戦でみごと“クラチャン”に。

念願の本大会出場を果たして予選を突破。25位につけたが、当時東北福祉大3年の松山英樹が優勝。史上3人目のアマVを飾っている。


強烈な思い出が詰まった御殿場。
「自分も勝ちたかった」と、ついにプロでも頂上をつかんだ。



楽勝、ではなかった。
2打差の首位から出て一時4差をつけながら、最後は1差の辛勝だった。

「どんどん差を広げていきたいな、と思いながらやってましたがハラハラする感じで終わってしまった」と苦笑をするが、先月の悔しさは晴らせた。


首位で出ながら、13番のバンカー目玉をきっかけに、残り6ホールで5打失い大失速したのは10月の「ACNゴルフチャンピオンシップ」だ。

ミスを受け入れられず、「次のホールに響いたりした」と、連鎖を止められなかった。


「今回は何があっても受け入れる」と決めて臨んだ。

ティショットを外した17番パー3のボギーで吉田に1差に詰められたが「そのホールで終わらせて、また新しい気持でクリアしていく」と、最終ホールで逃げ切った。


「ドライバーが右しか行かない」と、悩んでいたのは開幕前日のプロアマ戦時。
「飛ぶ3Wに、長さを足したらドライバーくらい飛ぶんじゃないか」と試してみたのがハマった。

きゅうきょ1Wを抜き、「飛距離が出るのとコントロール重視のと」。3Wの2本使いで、4日間通してボギーはわずかに4つ。

「曲がっても幅に収まる安心感があり、心に余裕があった。もっと早く試せばよかったです」と、笑う。


4月の「東建ホームメイトカップ」でさい先よく開幕戦Vを飾ったが、その後勝ちきれず「1ミリもチャンスはない」と、思っていた賞金王のチャンスが急に目の前に。

抜きつ抜かれつしている中島啓太と金谷拓実は「2人ともアグレッシブに攻めて行くところが、今までの世代とは違う」と、ギャップは感じる。でも、「フェアウェイをキープして、そこからアイアンで攻めていくというのが自分に合っているのかな、というのが今週、感じたこと」。

18歳の“クラチャン”から12年。
富士を見上げる御殿場で拓いた30歳の新境地だ。


「残り3試合のうち、あと1勝はしたい。また賞金王を狙って頑張りたいと思います」。
18と19年に続く3度目の日本一はまだ先にある。


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