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木下稜介は最終日に69「自信を持って日本に帰れる」(全英オープン)

練習日の1枚。デシャンボーは凄かった。
最終日は2バーディ、1ボギーの「69」。初メジャーを通算2オーバーの59位で戦い終えた木下稜介は、「予選を通って、今日もなんとかアンダーパーで回れたのはこれからのゴルフ人生にプラスになると思うし、自信を持って日本に帰れる」。

通算3オーバーの64位タイから開始したこの日はスタートの1番から丁寧にフェアウェイキープ。序盤からバーディトライを打ち続けた。

4番では2打目を奥の傾斜地に打ちこむピンチも、急な下りのアプローチを1メートルにつけてパーセーブ。

初バーディは、7番のパー5だった。
左足下がりの2打目が乱れて右の観戦エリアに飛び込んだが、難なく2メートルのチャンスにつけた。

ブラインドの5番や、ティショットのミスで2打目の距離を残した8番でも確実にグリーンをキャッチ。
9番では下りのきわどいパーパットもしのいで、前半9ホールをボギーなしの1アンダーで回った。
「日に日にレベルアップできているのを感じた」。
こなれたプレーに、4日目の手応えがにじんでいた。

本大会は、昨年1月の日亜共催「SMBCシンガポールオープン」6位の資格で初のメジャー切符をつかんだが、直後に状況は一変。
コロナ禍で中止が発表されたが、20年度の出場資格は持ち越された。

開催を待つ時間も技術向上の好機と捉えて研鑽を積み、昨秋まで中止が続いた国内ツアーで再開直後にブレイク。
V争いの機会を一気に増やして急成長を見せた。

今年になって6月の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」で初Vを飾ると、渡英目前の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」で連勝。
自信を手に初メジャーに乗り込むと、日本勢でただ一人の予選を突破。
4日間を闘い抜いた。

心待ちにしていた松山英樹との再会はかなわなかったが、開幕前には偶然、デシャンボーとの練習ラウンドが実現。
「キャリーが常に330ヤードを越えていて、レベルが違った」と圧倒された。
最終日は彼とひとつ前の組でプレーしながら「帰ったら、僕ももっと振る練習をしなければ」。スマホに格納したトップランカーたちとの記念写真と共に、帰国後の課題をこの日もかき集めながら歩いてきた。

前日3日目に、バンカーから絶妙のパーセーブで満員の観戦スタンドを沸かせた16番のパー3でこの日は、6メートルのバーディを奪った。
「人生で一番歓声を浴びたんで、本当に嬉しかったですし、全身が痺れた」。
忘れがたい30歳のバースデーウィークになった。

17番では2メートルを外してついにボギーを打ったが、ロストボールを覚悟したほど深いラフを渡り歩いた18番では、3メートルのナイスパーセーブ。
「目標の5アンダーには及ばなかったですけど、最後は良いパーが取れて良かったかな」。安堵の笑顔がこぼれた。

このあと、8月第1週の「WGCフェデックス・セントジュード招待(米TPCサウスウインド)」に出て帰国。
国内ツアーは8月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」から、再び20ー21シーズンが始まる。
「後半戦で1勝、2勝して、賞金王になって、また来年この最高の舞台に帰ってこられるように。頑張りたいなという気持ちです」。
さらに大きく成長して戻る。

なお優勝は、コリン・モリカワ(米)。
1打差2位から出て、7番から3連続バーディを奪うなどボギーなしの「66」を記録して、通算15アンダーで逆転V。
昨年の「全米プロ」に続いて、大会初出場でのメジャー2勝目の快挙を飾った。

2打差の2位にはジョーダン・スピース(米)。
3日目まで首位だった南アフリカのルイ・ウェストヘーゼンは、スペインのジョン・ラームと共に通算11アンダーの3位タイに終わった

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