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稲森佑貴は、謎の5年連続

初メジャーの全英オープンで決勝ラウンド進出。「我ながら、しぶといな、と」。
スマイルシンデレラのシブコさんが、今年1年を漢字一字で表して「謎」と書いたが、男子ゴルフの曲げない男も言いたい。

「僕も謎です」。

謎に始まり謎に終わった。今年もまた、日本一曲げない男。稲森佑貴が5年連続で、フェアウェイキープ率1位に。
でも「なぜだろう…。謎です」と、首をかしげた。

昨年は、5年シードの日本オープンでツアー初V。
昨年以上の上昇を求めて、開けた今季。
1月早々に、米ツアーに挑戦。ソニーオープンでも、7月にはメジャー初挑戦した全英オープンでも、予選通過を果たして4日間を戦えたのは評価できるがなぜか、日本に戻ると思うような結果が出ない。

今季、トップ10入りは6月の「ダンロップ福島オープン」の1回だけ(7位タイ)。
謎の1年は、国内開幕戦の初日が発端だった。
「ショットが良くなかった。今までみたいに打てなかった。それでも68で回れた。なぜだろう…?」。
謎のまま、2日目を出て76を叩いた。早々の予選落ちを喫した。
「初日に感じていたぼろが出た」。
開幕時の嫌な予兆を結局、最後まで引っ張り「ドライバーでシャンクのような球を打ったり、自信が持てないまま終わってしまった。試練の1年」。

それなのに、今年もまた一番、曲げなかった。
初受賞の15年から毎年自身の記録を更新し続け、昨年は脅威の73.69%。
5年目の今年は「さすがに、70は行かないだろうと思っていたけどそれでも69%で持ちこたえた」。
今年のフェアウェイキープ率69.39%は、この5年で自己ワーストでも、2位の岩本高志には4.05%も差をつけ今年もまた断トツのトップに。

「こんなに悪くてなんでまた、1位になれたか。謎です」。
それだけ抜きんでている証明だろうが、昨年3位の賞金ランキングが今季、49位まで落ちこんだとあってはやはり謎解きは急務。

自身の最終戦「カシオワールドオープン」後に、さっそく私的ラウンドに出かけた。
あれだけ1年、悩み続けたショットの不振がそのとき、不思議とすっかり晴れた。
「グリップもだし、ボールポジションもだし、下半身のターンの仕方も。良かったときから少しずつズレて今年はスウェーしていた感じ」。いつになく、スイング時に余分なちからが入っていたことが分かったのも、すっかりシーズン終了後。
「そういうのって、全部終わってから気づくものなんだな…」。パリッと、スーツに着替えて戻った翌週の部門別表彰式で、苦笑しながら登壇。

5年続けて日本一曲がらない称号に、逆に気を締め「今年は今年でよい経験。これを機会にさらに考えを一新して、何が良くて悪かったか。自分のプレーを見直し、また思ったところへ飛ばせるように。また勝てるように頑張る」。
謎解きはシーズンのあとで。このオフで、早急に答え合わせも済ませて25歳は来季も再び真っすぐ飛ばす。
  • 5度目のフェアウェイキープ1位に青木もゲキ「来年も、真っすぐ飛ばせ」

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