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ダンロップフェニックス 2014

20歳のホストプロ! 稲森佑貴が単独首位に

今年も世界に名だたる強豪が集う宮崎で、単独首位で飛び出したのは土壇場で出場権を手にした20歳。地元九州は鹿児島県出身の稲森。「点数をつけるなら、今日は90点くらいのゴルフができた」。最初と最後もしっかり締めた。ティショットをいきなり右の深いラフに入れた1番。「残り110ヤードで、本当ならピッチングなんか握らない。でも、グリーンを外すと確実に1打落としてしまう。なんとか乗せてパットで頑張る」。渾身のショット。「2メートル弱についた」。出だしのバーディで波に乗ると、前半は5番からの3連続バーディを含む6つのバーディ。「このコースでこんな良いゴルフが出来たのは、初めて」と、後半の一進一退も耐え凌いでいよいよ最後の18番パー5は手前のカラーから、パターで8メートルのイーグルトライだ。

残り253ヤードの2打目は「左は絶対にダメ。スプーンで芯を捉えてギリギリ届くかどうか」と一か八かの2オン狙いは、まっすぐとピン筋に飛んだ。
「ほんのちょっと乗らなかったけど、とても良いショットが打てた」とバーディ締めの64には「正直言って、自分でもこのスコアにはびっくりです」。

昨年から、セガサミーの特別協賛を受けて、ここフェニックスカントリークラブで始まったJGTO主催の「宮崎合宿」に今年も2年連続で参加。「自分の体に合ったスイングを教えてもらえたり、他のプロとのコミュニケーションが増えたり。来年もまた絶対に参加したい」と、今冬もラウンド合宿を重ねた成果はしかし、まさかツアーの開催中に、「こんなビッグスコアが出るとは思わず。自己ベストどころか、ここでアンダーパーで回ったこともなかったので」。

松林に区切られた難コースは、「とにかく今日は、ドライバーでフェアウェイを捉えることを、目標にしていた」と、ラフに入れたのもこの日は3ホールにとどめた。安定したショットで、世界の強豪たちを見下ろしたのは、先週の日曜日に出場権を手にしたばかりの20歳だった。

出場人数たった84人の今大会は、誰もが焦がれるビッグイベントであり、主催者推薦枠ですら、ウェイティングリストがある。ホストプロでもある稲森は、先週の時点でその2番目につけており、権利が降りてくるかどうかは微妙だった。

先週の上位5人の枠に、もしもまだ今大会の出場権を持たない選手が1人でもいれば、稲森に出番は回ってこなかった。「日曜日はドキドキしながらテレビを見ていた」。現在賞金ランクの82位は、「来週のカシオで準シードを狙っていこうと考えていた」。賞金ランク75位内の目標も、今週の出場権が決まって“上方修正”。
「あわよくば、60位内の本シードを自力で取りに行こうかという作戦に変更して臨んだ」。初日の好発進にはますますその気に。

鹿児島県の自宅は「部屋の窓を開けたらヤーデージの表示が見える」。父親が練習場を経営しており、6歳から背丈よりも長いクラブを振り、「ゴルフをせざるを得なかった」と恵まれた環境に育った。2011年にプロデビューを果たしたころは、「がちがちに緊張して視界がかすむこともしょっちゅうあった」。しかし、主戦場のチャレンジトーナメントで「自分よりも強い選手と回って自分との違いを毎日、勉強している」と、伸び盛りの真っ最中。
やはりホストプロとして臨んだ夏の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」で自己ベストの2位タイに「そこからすべては始まった」。再び巡ってきたチャンスを糧に、若きホストプロが土壇場の初シード入りを睨む。

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