予定時間より少し遅れて、子供たちが恥ずかしそうに「給食の用意ができました」と校長室で待っていた武藤を呼びに来た。
ランチルームまで案内され、改めて温かい拍手で迎えられながら、入口近くの席についた。みんなで一斉に「いただきます！」と手を合わせる。
武藤にとって給食は実に中学３年生以来１８年ぶり。
今日の献立は、みそラーメン、バンバンジーサラダ、あげパン、牛乳、りんごゼリー。
「僕が小学校の時は、麺といえばうどんくらいで、ラーメンなんて珍しい！ラーメンいいよね〜」と少年のような笑みがこぼれる。
同席した７人の男子生徒とおいしい給食をほおばりながら歓談していると、そのうちの１人がいくつも持っていたりんごゼリーをプロにプレゼント。すると周りにいた子供たちも次から次へとその上にりんごゼリーを積み上げ始めた。それには武藤も「こんなに食べられないよ〜」と嬉しい悲鳴を上げて苦笑い…。

和気あいあいとした雰囲気の中、給食の時間が終わると、サイン会が始まった。
武藤の前方には瞬く間に、サインを求める６２名の長い列ができた。
中には自分のおこづかいで購入した色紙を持ってきた子もいて、武藤は「嬉しいよね」とニッコリ。１人１人最後まで心をこめてペンを走らせた。

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• 武藤 俊憲