武藤俊憲(むとう・としのり)が6バーディ、ボギーなしの「66」をマーク。

「長いパットが良く入ってくれた」と、前半2番で7メートルを決めると、次の3番ではチップイン。
6、7番では5~6メートルを沈めて再び連続バーディとし、後半11番では8メートルも決め、17番は3メートルのチャンスも逃さなかった。
午前組の終了時には暫定のトップにつけ、「このコースでは、いろんな思い出があって、なんともいいようのない気持ちです」。
喜びがじわりとにじんだ。
翌年は複数年シードを活用し、22年末はQT2位につけ、23年末も同17位で出場権は守って来れたが、昨年はついにQTも75位どまり。
今年はチャレンジトーナメント(現ACNツアー)を主戦場にする。
「ここ5年くらいまったくいいゴルフができていない。ボール打ってるだけ、みたいな感じ。ずっとですね」と、試行錯誤が続いていた。
「今までやっていたようなゴルフではもうダメなんだ、というのを再確認するところからまず始めた」と、再構築に取り組む中で、もっとも意識改革につとめてきたのがマネジメント。
「昔みたいに全部、距離合わせて根元に落として、っていうのはもうやらないようにしよう」と、ピンデッドのゴルフを封印。
「もっと違う攻め方であり、違うクラブ選択であり、マネジメントの面では全く違う狙い方」。
今までの自分を自分で全否定するようなプレーを続けるのは容易ではなかったが、「まずははじめからやり直す、という意味で。暗闇の中をずっと手探りしていて、やっとこれだというものがあったのが、今年のオフぐらい」と、兆しが見えかけた。
「ゲームとして組み立てられるようになってきたのはほんと最近」。
4人によるプレーオフに挑んだのは今月のACNツアー「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI(越前CC)」。
2位敗退したが、「本当は行きたいけど行かない、みたいな。あの辺からやっと我慢して、ゴルフができるようになってきた」と、惜敗から得られた手ごたえは大きかった。
ミズノ契約選手として、今年は主催者推薦で挑む本大会には語り切れない思い出がある。
「初めて全英オープンに行かせてもらったのもこの大会」。
ロイヤルリバプールで行われた2006年は、日本予選ランキングの対象トーナメントだった「マンシングウェアオープンKSBカップ」でツアー初優勝を飾り、ランキング上位者として初メジャーを体験。
初日の1番ホールでただ一人フェアウェイ真ん中を捉えて浴びた大歓声は今も忘れない。
さらに2007年と、2012年には共に大会2位で計3度の渡英を果たしたが、いい思い出ばかりではない。
ミズノ社との契約初年度の2014年大会では初日の2番ホールで窪地に足を踏み入れ、じん帯を断裂。
そのまま病院に運ばれた。
その後6週間、クラブが握れず、スタッフのみなさんに多大な心配をおかけするなど語りつくせぬ恩義がある。
全組ホールアウト後の順位は1差2位。
周囲は当然、色めくが「早い早い! それは4日間終わってから」と、苦笑い。
「いや、もう初日にこうして名前を出しただけでも最低限はできたので。それは良かったかな」と、すでに満足した風に語ったが「あとは、やっぱりこのゴルフを辛抱強く続けるしかない」と、引き続き攻略につとめる気持ちに変わりない。
自身4枚目となる“全英切符”も、「あれはご褒美。行ければ行きたい。やっぱりあの会場に行ってよかったなって思うし、誰もがそう思うところ。また行ってもいいよって、言ってもらえるように。あとまだ3日、頑張ります」。
2019年の「パナソニックオープン」以来の復活Vで得られる恩恵はあまりに大きい。














