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マイナビABCチャンピオンシップ 2009

石川遼が「絶対に見てもらいたいです!」

18歳の目が輝いた。そこには生き生きと白球を追い、真剣勝負に向き合う1年前の自分がいた。ど派手なガッツポーズには、プロ転向後のツアー初優勝への抑えきれない喜びが溢れ出ていた。

「昨年のことは、鮮明に覚えている」。
作品の数々に、あのときの興奮が自然とよみがえって来た。

今年、このマイナビABCチャンピオンシップのギャラリープラザに誕生した「石川遼の写真展」。
練習日に本人も足を運んで、「去年は本当に必死でプレーしていたんだなということが、写真から伝わってきました。これは、絶対にギャラリーでいらっしゃる方には見てもらいたい」。

そんな、スポンサーの粋な計らいに、ますます気持ちは高ぶった。
ツアーで初の連覇がかかる今大会。
「1年の中でも特別なコースにディフェンディングチャンピオンとして戻って来られた。無事、怪我をすることもなく、体調も崩さずに。自分の成長を感じながら、チャンスは今年はこれだけという思いを持って来られた」と、激動のこの1年を改めて、感慨深げに振り返る。

1年越しで、もういちど同じトーナメントで優勝する。「それが、どういう感覚か分からない」と、石川。
それはどんなベテランプロでも容易ではなく前回、連覇が果たされたのは2007年。

つるやオープンで豪州のブレンダン・ジョーンズが達成して以来、もう2年以上、どの大会でも出ていない。
「連覇をした人のみが知っている世界。そういうものに触れてみたい」と、胸も膨らむ。

その要となるのが、やはりABC名物の高速グリーンだ。
「あのマスターズに匹敵する」と称賛されたセッティングは今年ももちろん、変わらない。
「キーパーさんは凄い技術を持っている。こういうグリーンを当たり前と思ってはいけない。感謝したい」と、コース管理のみなさんへのお礼の言葉もぬかりなく、いよいよ29日から始まる本戦に向けて、「傾斜が読めてもタッチが合わないとダメ。強く打ってラインをつぶしたりとか、そういうのはこのコースでは通用しない。グリーンと対話して、ボールと相談してどういう風に転がすか」と対策は、すでに頭の中にある。

ツアー参戦当初はトーナメント仕様の高速グリーンへの戸惑いも多かったが、すでに通算6勝を挙げた今では初日から、徐々にスピードを上げていく傾向にももう慣れた。

「初日からガンガン行くのではなく、最終日の速さを想定してジャストタッチのラインを読む。それが今週の鍵になる」と話した昨年覇者は、「コースに一番自信を持っていけるのが、ディフェンディングチャンピオンの特権」と改めて、熱い思いを吐き出した。

次週は世界ゴルフ選手権「HSBCチャンピオンズ」が控えている。
海外ツアーを直後に控えている国内ツアーで今年は4戦4勝という不思議なデータも後押しする。
「来週が海外かと思うと楽しみだな、と思いながらプレー出来る」と、これもまたモチベーションへとつながっていく。

今週は、ライバルの池田勇太が右手首痛のため欠場を決めた。
「早く治してまた素晴らしいプレーをして欲しい」とその体調を気遣ったが、石川が今大会で単独3位につければ、再び賞金ランキングで逆転する可能性も出てきた。

また勝てば、年間5勝以上を挙げた選手は史上10人目(23回目)の快挙達成と、最年少記録の更新となる。

連覇に、賞金レースに。今や18歳が、常に話題の中心にいる。

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