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キヤノンオープン 2008

白佳和(はくよしかず)が今季初の予選通過

ホールアウトするなり、「やったな」と、次々と差し出される右手。その中でも特に、ウェアの契約先デサントのスタッフの手を強く握り返して「本当にお待たせしてスミマセン!」。
心配かけどおしだった恩人に、深々と頭を下げた。

ツアーも後半戦に突入し、全25試合中16試合が終了したが、白はこれが今季初の予選通過だ。

というより、もっとさかのぼれば昨シーズン。棄権した11月の三井住友VISA太平洋マスターズ以来の決勝ラウンド進出に「ようやく土日に仕事が出来る」と、ため息とともに吐きだした。

不振の原因は、昨秋かかったパッティングのイップスだ。
アドレスして手が動かなくなり、それを無理に動かそうとしてとんでもない方向に打つ症状は、片山晋呉に相談したら「それはもう治らないよ」と宣告された。
「だからグリップを変えたり、パターを変えたり、これまでと何か別のものを取り入れて克服するしかない」。
そうアドバイスを受けたが、では何をどうしたら良いのかさっぱり分らない。

悩んだあげくにトライしたのが、片山が考案した例の“一休さんグリップ”。
再び教えを請いながら、変則グリップを懸命に習得した。
そのうち、アドレス時の手の震えが止まり、ヘッドをまっすぐに打ち出せるようにはなったがそういきなり結果が出るはずもなく「今週、落ちたらもうゴルフはやめよう、と」。

そう覚悟を決めた矢先だった。
しかも、この日はベストスコア66。
まして賞金総額2億円のビッグイベントでの予選突破に「なんだかねえ・・・」と、苦笑した。

4年連続のシード権の確保に向けて、今週ようやくスタートを切った白。
しかし、いまは約1年ぶりの決勝ラウンドに進んだ喜びに浸りたい。
「とにかく週末のコースで思い切りゴルフがしたい」と話す表情は、憑きものが落ちたように晴れ晴れとしていた。


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