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つるやオープンゴルフトーナメント 2008

石川遼は42位にも満足

豪快なプレーで今週も大観衆を魅了した遼くん
スタートの10番は、やはりこの日もティショットはドライバー。多くの選手が安全にアイアンを手にするホールで4日間とも果敢に攻めて、奥から1.5メートルを沈めて朝から詰めかけた大ギャラリーを沸かせたが、本人の頭には一抹の不安がよぎっていた。

「普段どおりの、良いスイングが出来ていない」。
11番のティショットで、ますます確信した。
「インパクトの前に、手首が返っている。そのせいで、ヘッドが落ちて体が起き上がっている」。
ラウンドしながら懸命に修正を試みたが、思うようにいかなかった。

いよいよ12番でトリプルボギーを打った。
左のラフから残り127ヤードの第2打は、ライが沈んでいた上に、前方に木がせり出していた。
7番アイアンを握ったが、トップした。
「結果を見すぎて失敗した」。木にぶち当たって、OBを打った。
打ち直しの4打目は9番アイアンでグリーンをショート。
サンドウェッジで3メートルにつけたが、これを外した。
「自分でも、取り返しのつかないことになっちゃうのかな、と思ったけれど」。

16歳の強心臓は、「ティショット、セカンドと続けて悪いスイングをしたお仕置きです」と、ジタバタせず冷静に対処した。スタートして6ホール目の15番ホールでいつものスイングを取り戻し、そこからすべてパーセーブで切り抜けてみせた。

スイングの変調には、自分で気がついたという。
「いつもは、お父さんに言われないと分からなかったけれど」。
自ら解決策を見出して乗りきった。
「試合中に修正できたことは前進だった」と満足げだ。

3日目から晴天と強風の影響で、スピードを増したグリーンに戸惑ったが競技後のパッティンググリーンでひらめいた。
目をつぶり、スタンスを狭めてストロークしてみたら「感じが良くなったから。実際に、今日はスタンスを狭めてやってみた」。
しかし、満足のいくパッティングができたのは、最終9番の右6メートルのパーパットだけだった。

「なんで最後の最後しか入らないかなあ」と言って笑わせたが、さまざまな悩みやひらめきも「試合で試すことに価値があると思っている」という石川にとって、何よりの収穫となった。

「今週も、予選を突破できたことが、大きなこと。来週以降も、今まで以上に予選通過を目指していく」と、決意を新たにした。

大トラブルの12番は刻む選択もできただろうが、どんな場面でもひるまない豪快な攻めも、将来を見据えてのことだ。
「何年後かには刻むことも考えるかもしれないが、今の僕には必要ない。ドライバーでフェアウェーの幅に打てなければ、他のクラブでも打てるわけがない」。
そんな思いきりの良さが、ますますファンを魅了するのは言うまでもない。

ツアーは2週連続のサスペンデッド。3日目は30ホールの長丁場を経験したが、「体は疲れていない」と言い切れるのは毎日十分な睡眠と、オフのトレーニングの成果だ。
次週は、名古屋ゴルフ倶楽部 和合コースで行われる中日クラウンズ。
「3週連続の出場は心配だったけれど、この2試合で4、5週は乗り越えられる体力がついていることが分かった。来週も、開幕戦と同じようにように迎えられます」と、頼もしい。


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