Tournament article

ゴルフ日本シリーズJTカップ 2008

ジーブ・ミルカ・シンが2位タイ

日本ツアーでシード落ちを喫し、ロッカールームで泣き崩れたのは2003年。あれから5年を経たいま、当時の面影は微塵もない。

欧州ツアーで3勝。
アジアで5勝。
日本は今大会での2週連続Vを含む通算3勝。

昨年は、インド人として初めてマスターズにも出場した。
今年は2度目のアジアンツアーの賞金王に輝いて、世界を股にかけるインターナショナルプレーヤーは、風格さえ漂わせるようになった。

のたうつような苦しみも、もだえるような慟哭も、ひとたびコースに出れば、ピンしか見えない。
ボギーなしの6アンダーでホールアウトしてきたジーブ・ミルカ・シンは開口一番。

「今日は、悲しい知らせがあるんだ」。
そう言って淡々と語り始めたのは、この日2位タイにつけた選手とは思えない壮絶な出来事だった。

妊娠5ヶ月目だった妻・クドラさんが流産したのは前日火曜日。
待望の第一子だった。
東京都内の婦人科医で「赤ちゃんの鼓動が聞こえない」と診断を受けて、緊急入院したが間に合わなかった。
すでにお腹の中で亡くなっていたと聞いて、泣き崩れた夫は一度は今大会の欠場を決めた。
「そんな精神状態で、とてもゴルフなんか出来ない」。
言い張る夫にクドラさんが静かに言った。

「赤ちゃんのためにもプレーして来て」。

その声に促されどうにかコースに来たが、「やっぱり集中なんか出来なかったよ。でも…集中しなかったのが、かえって良かったのかも」と、無理に作った笑顔が痛々しかった。
「人生は、前に進むしかないんだね」。
ポツリとこぼした言葉が胸に迫った。

関連記事