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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2008

星野英正が3日連続の首位

1番で第2打をミス。グリーン手前ラフからのアプローチも届かずにボギーを打った。もたついているスキに、タイのプラヤド・マークセンが怒濤の7バーディ。一気に抜かれたが、そのとき星野が気にかけていたのはまったく別のことだった。

初日に6アンダー65のベストスコアをマーク。
日本郵船提供のベストスコア賞は、豪華客船「飛鳥II」で行く9泊10日のグアム・サイパンクルーズだ。
大洗で行われた2004年大会の最終日にも、やはりベストスコア(66)をマークして同賞を受賞。
「あのときは、親にプレゼントしてとても喜んでもらえたから。もう一度取りたかった。絶対に、取られたくなかった」という。

そんな願いが届いたのか。マークセンは後半に失速して66。ひとまず、難を逃れてホっと胸をなで下ろす。
「…なんて、そんなことを考えながらプレーしてるなんて、ほんと余裕だよね」と、まるで人ごとのように笑う。

自分でも、これまでに経験したことのない優勝争いを演じている。
「今週はほんっと、焦りがまったくないから。こんな冷静に、優勝争いをしたことがこれまでなかったから。自分でも驚いている」。

2日目に続き、この日3日目も一度は沈んだが、13番で13メートルのバーディパットを沈めて再浮上。

「最初スライスしてから上って、てっぺんから一気に右に下って…寄ればいい、というのがカップイン」。

そして、首位タイで迎えた18番も、最終日の予行演習をする余裕ぶりだった。
「明日のイメージでやってみた」というティショットこそ右ラフに外したが、そこから冷静に刻み、残り98ヤードの第3打は右手前3.5メートル。
これをねじ込み3日間連続の首位に躍り出た。

2002年に兵庫県に越してからしばらくの間、練習場所はもっぱらここ東広野ゴルフ倶楽部だった。
隅々まで知り尽くした勝手知ったるコースというほかに、今週はコースまで車で50分の自宅通勤。
「昨日は9時半に家に帰って、シャワーを浴びてすぐに寝た。家にいるだけで1日のストレスがなくなる。落ち着ける」。

加えて、偶然の出会いが星野を後押しする。
神戸市・春日野道にはクラブ契約先、SRIスポーツの本社がある。
その近くの行きつけのレストランで、オリックスの清原和博さんと会ったのは今週の火曜日だ。
店のご主人を通じて互いの存在は知っていたが、話をするのはそれが初めてだった。

屈託なく星野の横に腰掛けた清原さんは、「今日は俺が何でもおごるから」と言ったばかりか別れ際には、「今週、もし優勝したらホールインワン賞以上の価値があるものをプレゼントする」と、約束して去った。

「テレビで見るのとは全然違う。ものすごく優しくて、真のアスリート。この人が味方なら、怖いものは何もないと思えた。それが今週、冷静にプレーできている原因かも」。
いよいよ最終日を前に、今晩も自宅のベッドで清原さんからのプレゼントを想像しながらぐっすり眠る。

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