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来季はチャレンジで復活を期す!! 星野英正が愛息の母校にスナッグゴルフを寄贈(12月12日)

いつもクールな男が珍しく、腹の底から笑った。12月12日に、星野英正が愛息の通う母校で、子どもたちにスナッグゴルフを教えた。

スリクソンのジュニアスクールなど、今までにも講師の経験は豊富だが「こんなにパワフルな子たちは初めてだった」。
講習会の最後に、他にサインをしてもらえるものがないからと、躊躇もなく次々に小さな手の甲を差し出し「ここに書いて!」。風呂に入ればたちまち消えてしまうだろうに「とにかくサインが欲しいんだ、って気持ちが伝わってくるよ」とケラケラと笑いながらサインを書いた。

子どもたちに意見を求めれば次々に手が上がる。大人にも物怖じせずに自分の考えを言える。自主性を重んじる校風も、やはりならでは。
「うちの子も国際感覚を持てるように」と長男のボスン君を、幼稚園から住まいのある兵庫・六甲アイランドのインターナショナルスクールに入れた。来年には同カナディアンアカデミーの小学クラスへの進学を控えて、この日はクラスのみんなで講師姿を見学に来てくれた。

父の気合いが入った。指導にも熱がこもった。正確無比なデモショットが冴えた。拍手喝采を浴びると、父の威厳も漂った。

このほどの、同スクールへのスナッグゴルフの寄贈は、韓国の金亨成(キムヒョンソン)との共同作業だ。かねてより「息子の学校に貢献したい」と切望していた星野のほうから、亨成(ヒョンソン)に声をかけた。

亨成(ヒョンソン)の2人娘も同スクールに通っている。この日の寄贈式もぜひ、一緒にと話していたが、あいにく予定が揃わず亨成(ヒョンソン)は、また後日改めてとなっただけに、先入りする星野には責任重大?!

「将来は、陸上のサニブラウンさんや、ケンブリッジ飛鳥さんのような選手がゴルフ界にもどんどん出てきて欲しい」と、そのとっかかりをつけてあげるためにも最初のステップで、さまざまな国のルーツを持つ子たちにもひとまず、ゴルフを好きになってもらわなければならない。
その点「みんな、楽しかったと喜んでくれてよかった」とクールな男から、最後は安堵の笑みがこぼれた。

星野には怒濤の2017年。「前厄だから・・・」。今季はついにシード権を失い、2001年以来となるファイナルQTに参戦。今までは意識したこともなかった“厄年”の意味を痛感する1年となったが、星野にはむしろ「すっきり」と、晴れやかな年の瀬となった。

「QTに出て気がついた。俺はここ4,5年ずっと、人前でゴルフをするのが苦痛だったんだ、と」。アマ52冠の勲章をさげて2000年にデビューした頃には思いもしなかった重圧は「変なゴルフを見せたくない」。ミスパットやミスショットをするたびに「どう思われているのか」と、人目を気にして気が塞いだ。
「今思えば、誰も俺のことなんか見ちゃいないんだけどね。病んでた。いつの間にか人前でゴルフをすることに恐怖があった。自分が遼やヒデキじゃなくて良かったと本気で思った」。どこにいても、何をしても注目を集めてしまう石川や松山の苦労をひそかに思ったりもした。

ファイナルQTは59位に終わって、来季はチャレンジトーナメントを主戦場にする。
プロ2年目の2001年に出て以来の参戦だ。いよいよ原点に立ち返ることになり、逆に自分を客観的に見られるようになった。
「あのときは1試合だけ出てやめてしまったけれど、自分のように落ちてきた選手が出て盛り上げることも、大事だと思うようになった。レギュラーにいた頃にはお会いできなかったスポンサーの方々にも恩返しが出来るような活躍が出来れば」。
来季を見据えて、オフトレもすでに始めている。
若者の登竜門でツアー通算3勝のベテランが、今までとは違った視点で復活を期す意欲も沸いてきた。

少し気持ちの余裕も出来たら、ほかの近隣小学校にもまた、スナッグゴルフを導入して裾野を広げる活動もしていけたらと思っている。
「俺みたいな苦労をさせたくないから。息子には勧めないけど」と、そこは苦笑いで「自分たちの学区から、スター選手が誕生してくれれば」。それもまた新たな生きがいとして、40歳からの出直しを誓った。

  • 手に書くの? ほんとにいいの?! 他にも靴に書いて欲しい、とか「何が何でもサインが欲しいんだって気持ちが嬉しいよね」
  • 星野ジュニア! 愛息のボスン君。今や日本語より英語のほうが上手だけれど、お父さんの前では照れて英語を喋ってくれないんだって!!

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