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フジサンケイクラシック 2007

石川遼くんが暫定6位タイで予選通過

ミス、不運も、悪天候さえも。どんな状況も、次の瞬間には自分のプラスに変えてしまう。それがいまの石川くんの強さだ。早朝は濃い霧と、激しい雨。スタートの1番でボギーを打った。左バンカーから残り120ヤードの第2打はグリーンに届かず、1メートルのパーパットを外した。その直後に競技中断。

再開までの1時間30分は頭からタオルをかぶり、好きな音楽で集中力を切らさない。石川流の“瞑想”が、悪い流れを断ち切った。
「2番のティショットを打つときには1番のことは忘れていた。気持ちを切り替えられたことが良かった」という。

「今日は昨日より緊張しなかった」とはいうものの、ショットは依然として「右へ左へ」(父・勝美さん)。その分、やはりこの日も小技が冴えた。フェアウェーを外しても、どこからでも寄せてくる。きわどい距離のパットを決める。

圧巻は212ヤードの7番パー3だった。左のピンに対し、右4メートルを狙って打ったティショットは思ったよりも風に流され「1ピン左に落ちた」。ちょうど左手前の池に転がり込むよう設計された場所。コースのワナに転がりこんだ。痛恨の池ポチャだ。

「ここでダブルボギーを打っていたら、次のホールへ行っても落ち込んだままだったと思う」と振り返る。
ダメージを最小限にとどめることができたのは、気迫のこもったパッティング。
ドロップエリアからの打ち直しで、手前3メートルに寄せたボギーパットは「絶対に入れてやる」。
ねじこんでガッツポーズ。8番のバーディにつながった。

一度は1ボギーまでスコアを崩しながら、盛り返した。
「ボギーを取ってもすぐバーディを取れるようになったのは成長した点」と自己採点しながら反省も忘れない。
「プロは、僕みたいなミスをしない。ミスしても絶対にミスして良いほうに外している」。

同じ組の深堀と優作のプレーを待つ間も2人のプロから目を離さなかった。
その背中を食い入るように見つめ、球の行方を見守っていた。
自分のプレーに集中する一方で「プロの攻め方には学ぶべきものがある」と終始冷静な視線を注ぎ、着実に自分の糧にする。
やはり恐るべき15歳。

2オン狙いの15番、17番のパー5でバーディを奪って1アンダーに戻して迎えた最終18番。
1.5メートルのパーパットを決めて振り下ろしたガッツポーズ。
こぼれ出た笑顔。
1アンダー暫定6位タイは、アマチュアでただ1人の決勝ラウンド進出だが「ホっとしたのは10秒未満。明日からまたきっと緊張が始まる」と、唇を引き締めた。
「明日になれば、絶対に順位が頭に入ってくる。そのとき何位だと言って落ち込むのか、まだ何位だと思って上がっていくのか・・・。精神的な部分でもトライしていきたいんです」。
その胸の底にツアー2勝目の思いを秘めて。
  • 7番で痛恨の池ポチャもプラスに変えた石川くん
  • 決勝ラウンドで、さらなる快挙達成に挑む!

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