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フジサンケイクラシック 2007

石川遼くんが1アンダーの7位タイスタート

スタートの10番でティショットを打ったあと、思わず右手で胸を押さえた。これがツアー2戦目のはじめの1打。ひとまず無事に打つことができて、ほっと安堵のため息に同組の深堀圭一郎の笑いを誘う。

「試合では緊張しても、ティショットの瞬間くらい。いつもは、そのあとすぐにリラックスできるのに。今日は時間が長かった。とても緊張した1日だった」。
史上最年少優勝を達成した5月のマンシングウェアオープンKSBカップはほとんどプレッシャーを感じるヒマもなく勝った。
「今日は、あのときと全然違ってた」と、石川くんは振り返る。

この日は12時5分にスタート。それにもかかわらず、朝8時40分に早々とコース入りし、2回に分けて練習場に足を運び、入念に調整を重ね、合間に好きな音楽でリラックス。
スタート30分前までは、いつもどおりだったのに。

いざティグラウンドで受けた、拍手の大きさ。たくさんのギャラリーの視線が一点に注がれる。こんなに大勢の人に注目されている。そう気がついて、15歳は戸惑った。

ふいに襲ってきたプレッシャー。
かたわらの深堀と、宮里優作の存在も拍車をかけた。
「テレビで優勝争いされているトッププレーヤーのみなさんと回っているんだな・・・と。途中で改めて思ったら、ドキっとしてしまった」という。
「プロの皆さんに迷惑をかけたくない。そういう気持ちもあったんでしょう」と、息子の気持ちを代弁したのはこの日、家族揃って18ホールを見守った父・勝美さん。
「はじめのうちはアップアップ」と勝美さんも話したように、ショットが乱れた前半のインコース。

それでも再三のピンチをアプローチとパットでしのぎ、1アンダーでハーフターン。しかし1番でさっそく連続ボギーを打って、それでかえって吹っ切れた。
「まだ1オーバー」と冷静に受け止めて、いつものらしさを取り戻したのは続く3番パー5。

ドライバーで気持ちよくフェアウェーを捉え、残り270ヤードの第2打でキャディの塘田隼也(とうだしゅんや)さんにつぶやく。
「狙いたいな」。
「狙えばいいじゃん、挑戦者なんだろう?」。
あのときと変わらない。息の合った掛け合いに、完全にリズムを取り戻した。

同組の2人のプロさえおさえる1アンダーの7位タイに、「緊張しても、今日はそれが裏目に出なかったし、小技も成功して1アンダーは今日できる最高のゴルフ。でも、今日良かったから明日も良いスコアで回れるというふうには考えない。明日は、プロのみなさんと回れることをすがすがしく感じながら、気持ちを切り替えまたはじめからという気持ちでプレーしたい」と笑顔で話した。

歴史を揺るがす快挙から、わずか3ヶ月。
「あのときのことは、なんだかもう昔のことみたいな感じだけれど。確かに、あのときより今のほうがゴルフの内容は良いけれど。でもこの日のアンダーパーは、予定どおりではありません。最高の結果になりました」とハニかんだ石川くんは、まだツアーで一度もオーバーパーを打っていない。

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