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三井住友VISA太平洋マスターズ 2007

石川遼くんがベストアマチュア賞を獲得

この日最終日のスタート前に、ディフェンディングチャンピオンに言われた。「今日は4アンダーで回っておいで」。尊敬する中嶋常幸からの言葉に「かなり気合が入った」という。

言われたスコアには到達できなかったが、1オーバーでまわった前日3日目に石川くんは話していた。
「自分を褒める基準としてパープレーがある」。
そういう意味でも、72でまわったこの日はまずは及第点。
「今日はアイアンの距離感が合わなくて少し苦しんだけど、パープレーは耐えた証し。今日はプレーのリズムも良くて、満足の1日だった」と、嬉しそうに振り返った。

このツアー6戦目は目先のショットやパットの出来に一喜一憂するのではなく、いま抱えているスイングの課題をやりぬくことが目標だった。
「いつも練習場でやっているスイングをして、あとはボールとクラブに任せてプレーすればいい」。
6番パー5で、残り260ヤードの第2打をスプーンでみごとなフェードをかけて、ピン左横5メートルに2オンさせるなど、通算2アンダーは38位タイにも「信念を貫けたと思う」と、満足そうに頷いた。

一方で、50ヤード前後のアプローチの距離感は「まだまだプロには及ばない。自分に足りない部分」。改めてそう気づかされたそうだがそんな歯がゆさも、御殿場の高速グリーンにかえって吹っ切れたという。
「こんな難しいグリーンで、急に上手く出来るわけではないから。いま自分にできることをやればいい、と。自分のアプローチの技術だったらこのくらいだ、と気持ちを切り替えてプレーできました」。

3試合ぶりの決勝ラウンドは「今までの中で一番、大きな経験になった」と石川くん。
この日インスタートの最終9番は、最後までついて歩いてくれた大ギャラリーに向かって「ありがとう」と何度も頭を下げて、いくつかボールを投げ込んだ。
ベストアマチュア賞受賞で出席した表彰式で、チャンピオンに劇的イーグルの内容を無邪気に尋ね、スピーチでいつもの笑顔を振りまいた。
2試合連続予選落ちを喫した前回とは打って変わって晴れやかな表情に、またひとつ、新しい何かを得たという自信が漂った。

次のツアーは今週のダンロップフェニックス。
「まだ、僕は結果を気にする時期じゃない。自分ができることを、最大限に発揮できればいい」。
いままさに伸び盛りの16歳は、その身に起きることすべてが成長の糧になる。

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