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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2006

鈴木亨「40代、最初の1日を最高の日に」

475ヤードと、距離のある9番パー4。最終ホールで「最高のティショット」を打って、気分よく歩いてきたら、ボールはディボット跡。
「せっかくフェアウェーなのにこれかよ・・・」。
思わぬ不運に一度は落胆したが、この残り173ヤードの第2打は、7番アイアンで最高のショットが打てた。
「フェードヒッターか、というような良い球が打てた」。
ピン手前1メートルにピタリとつけて、この日4つ目のバーディ。

通算4アンダーに、しぼみかけた夢が膨らむ。

5月28日が誕生日。今週、最終日に40歳を迎える。
「自分で自分に良いプレゼントを・・・」と、言いたいところだが最近、スロースターター。
「春先のこの時期、僕はいつも出遅れる。期待はしていなかった。また、かすかな夢で終わるだろうと」。

しかし、今週のセッティングは深いラフ、固くて速いグリーン。
「今年一番のタフなコース」(鈴木)が、逆にチャンスを呼び込んでくれそうだ。
「ハイスコアを出さなくても良い」という開き直りが、集中力につながった。
「ミスしても、また次」と気持ちを切り替え、目の前の1打に打ち込むことができた。

実は、今年の誕生日は憂鬱だった。
「40歳になっても現役を張れるのがゴルフだけれど。スポーツ界では、峠を越える年齢と見られるし、自分でもそう感じるし」。
実際に、気持ちと体が噛み合わない、と感じることも多くなった。
誕生日を迎えることで、一気に老け込むような気がして嫌な気持ちになったものだ。

年齢になんとか抵抗しようとこのオフ、「3年計画」で体を作り直すことにした。
専門のトレーナーについて、リハビリを兼ねたトレーニングに取り組んだ。
おかげで体重は4キロ減。
「・・・体も、ちょっと若返りかけてきたかなあって(笑)」。
目に見えた成果が、何よりの特効薬だ。

前向きになれる“吉兆”もある。
94年以来、隔年で勝ち星を重ねてきた。今年が、そのあたり年。
「1年置きにうまく勝ってきたから。そんな選手はめったにいないし、今年は、優勝を意識している」という。
しかも、やはりここ狭山ゴルフ・クラブで行われた2002年の今大会は、尊敬する大先輩・中嶋常幸が7年ぶりの復活優勝をあげたコースでもある。
「中嶋さんと同じ場所、同じトーナメントで勝てたなら・・・。40代、最初の1日を最高の日にしたい」。
4年前の感動再びだ。

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