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つるやオープン 2000

「2000年/プレーヤーたちの挑戦 」宮本勝昌-1

最終回は、98年つるやオープンの覇者、宮本勝昌。
宮本は、つるやオープンでの初優勝をきっかけに、同年11月には米ツアーのクォリファイングトーナメントに挑戦。みごと合格し、帰国後の12月には日本シリーズで尾崎将司をプレーオフの末、逆転で下すなど、大きく成長をとげた。
昨99年の米ツアー挑戦は「アメリカという荒波に跳ね返され、存分に悩み苦しんできました」と振るわなかったが、宮本は、2001年にむけ新たな希望に燃えている。

Q;今年も『つるやオープン』の季節がやってきましたね。

宮本:はい〜。この大会は、僕にいろんなきっかけを作ってくれた大会ですから、思い入れも大きいんです。コースとの相性もいいですし、今年は初戦の東建コーポレーションで10位、静岡オープンでは6位と、調子は良いようなんで、さらに調子をあげていけば今週は優勝、っていうのもありえるかもしれませんよ(笑)。いえ…ぜひとも、優勝めざして頑張りたいと思いますね。

Q;非常に頼もしい言葉ですね〜。今季開幕2戦の戦いぶりを見ても、オフの仕上がり具合はバツグンといった感じですし、今年は期待できそうですね。

宮本:宮本勝昌;いや〜、まだまだ極めるべきところはたくさんあるんです。開幕していきなり2週連続ベスト10入りできた、というのが結果的に上出来というだけ、2戦とも風の強い悪コンディションの日にはしっかり崩れている。あいかわらず「風に弱いミヤモト」です(笑)ダメですね〜、風の中だと、どうしようもなくなっちゃう。風に敏感になりすぎてるのかわからないですけど…。ゴルフやってる上で、風が嫌だとか言ってられませんよね。そのへんは師匠(芹澤信雄)を見習わないと。

Q:開幕戦での師匠の優勝は、刺激になったでしょう。

宮本:もちろんです。師匠はあの風の中でも強いですからね〜。技術の差を感じてしまいますよ。僕も、師匠に続け!といきたいところですが、なかなか…。

Q;師匠との出会いはいつだったのですか?

宮本:ちょうど3年前くらいになるでしょうか。父親の友人を通して紹介していただいて、同じ静岡県出身ということで、芹澤さんも快く受け入れてくださったんです。

Q;芹澤さんは宮本さんにとって、どんな存在ですか。

宮本:教祖さま…かな?(笑)それは冗談ですが、素晴らしいお手本、といった感じですかね。
僕にはまだ、『コレがミヤモトだ!』という確固たるスイングがないんです。そういう人間がいったん崩れ出すと怖いんです。好調なとき、自分がどんなスイングをしているのかもよくわかってないから、自分では何が悪いのか原因がつかめなくて、もうどうしようもなくなっちゃうんですよ。
昨年は特に、米ツアーに挑戦して、回りに誰も指摘してくれる人がいない状況で、ヘロヘロになって日本にかえってきたときに、芹澤さんの素晴らしさを改めて感じたましたね。
たとえば、「おまえ、"ここ"の"ここ"が"こう"なってるから、ダメなんだよ。"ここ"を"こう"しなくちゃ」と芹澤さんに言われて、そのとおりやってみると、ほんとにすぐ治ってしまった。ウソみたいに悩みが消えちゃったから!

Q;昨年は、芹澤さんもお父様を亡くされたりで大変だったようですけど・・・。

宮本:そうですね。でも普段はまったく、そういうつらい気持ちを出さないで、逆に後輩の僕らに気をつかってくださったりする方です。面倒見のよさには本当に頭が下がりますね。どんなときも明るくて、面白いこと言って人を笑わせているし、芹澤さんがいれば、その場がパッと明るくなって、心が和みます。コースでは"師匠"だけど、コースを離れると、なんでも相談できるよき相談相手、友達みたいな存在ですね。

Q;最近、笑い方や話し方が師匠に似てきたような印象を受けるんですけど

宮本:あっはっは!!やっぱり、そうですかね?
最近、試合から帰ると女房にも「あなた、口調が早くなってるわよ。お願いだから、もっと落ちついてしゃべって!」ってよく注意されるんですよ。どうもツアーで芹澤さんと一緒に過ごしているから、芹澤さんの早口がうつっちゃってるみたいで… (笑)数日たったらだんだん普通に戻るんですけど。また試合に行くと、早くなって帰ってくる、その繰り返しで・・・。でもそういう些細な部分まで師匠に似てくる自分も嬉しいというか…もうそのくらい影響力が大きいってことなんです。

Q;芹澤さんを教祖さま、と呼ぶゆえん…?(笑)

宮本:そうなんです!(笑)。ホント、芹澤さんの言うことはなんでも素直に聞けるし、すんなりと頭に入ってくるし、僕にとっては絶対的な存在ですね。僕は芹澤さんには、飛距離では勝てるかもしれないけれど、スイング理論や、アプローチ、パットの多彩なワザには絶対にかなわない。師匠の持ってるものは、なんでも吸収したいと思います。そうすれば、確実に1ラウンドでひとつ、ふたつスコアがかわってくると思うし…。

Q;その芹澤さんにいつも、アドバイスされているのは主にどういう内容ですか。

宮本:ズバリ、賞金王を取れ、と。『オマエならやれる、それくらいの力はある』ってハッパかけてくださるんですけどね…(笑顔)。

Q;ご自身でどうですか。

宮本:もちろん、取るつもりでやってますよ。・・・ただ、日本の賞金王も当然、目標ではあるし、いずれ取るべきものだと思いますが、僕がこだわっているのはもっとでっかく、米ツアーでの初優勝なんです。今年はその準備期間。日本でじっくりとスイングを立てなおして、今年のQスクールにも、もちろんまた挑戦します。今年、ミヤモトが目指すのは、『2001年の米ツアー』なんです。

(2へ続く)

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