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東海クラシック 2000

「今日は素の姿で戦いました」

 奥田靖己が、「クラシカルなゴルフ」で、首位タイに立った。
 今オフ、アスリートゴルファーを目指して肉体強化に励んだが、無理がたたって持病のヘルニアを患い、約2週間も「半径1メートルも歩けない状態」に。今季前半戦を棒に振った。
 あの苦しみを教訓に、「まわりは、みんなアスリートになってきてるけど、僕にはなられへんとわかった。そういうのは他に任せて、僕は以前のスタイルに戻します」
 もともと、超感覚派といわれる奥田。この日は、2ヶ月前から再び実戦しているという、ヤーデージブックとピンプレースメントをまったく見ないラウンドで、5バーディ、1ボギーの68。
 「僕は見た目、フィーリングを大事にしたい」と、独特の理論を語った。

 「今日はフィーリングがだいぶ良くなってきた。昔の感じに近づいてきたね。
 今はヤーデージブック(ホール毎の距離、レイアウトが記してあるノート)も、
ピンプレースメント(注:=ホールロケーションシート、その日のピン位置が記してある)
 もまったく見てない。2ヶ月くらいまえから、前のスタイルに戻してるんです。
 そういうものに頼るのは、自分が不安だからに他なりません。内側が不安なときほど、数字とか、何か外(そと)のものに頼るんだと思う。
 メモとか、歩測とかしてクラブを選んだり、パットで逆のラインから読んでみたり、そういうことして、いったい何がわかるんですか。
 “感じ(フィーリング)”で行ったほうが、いいんです。見たまま、感じたまま。『残り135ヤードやから、9番アイアンで打つ』、やなんてそういうのはゴルフやないでしょう。ゴルフは目で見て、肌で感じるもんやと思う。
 僕は、ツアープレーヤーとして自分の打つ1打1打を味わいたい。パッと見て、そのとき感じた距離感とかを大事にしたい。だから、今日のプレーの各ホールの残りヤードなんて、知りませんよ。

 今日、4アンダーを出したのも俺やし、5オーバーたたいても俺。それ以下でもない、それ以上でもない。それぞれ、受け入れていかなアカン自分自身です。
 最近、自分の素の姿で、戦えるようになってきました。
 ありのままで戦えるということは、かなりゴルフが良くなってきたということですよね」

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