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PGAフィランスロピー 2000

「せっかくのチャンス。壊したくないと思って無我夢中でした」

今大会ツアーデビューの清水一浩が、64でまわって好発進
2位タイにたった清水一浩は、この大会がツアーデビュー戦。昨年、ファイナルクォリファイングトーナメントまでは残ったものの、ランクは84位。今季のツアー出場はほとんど絶望的だった。
今週も、「まさか出れるわけはない」と思っていたが、栃木県の西那須野で開かれていた「トミーチャレンジ」というミニツアー参戦中の火曜日に、「欠員が出そうだ」という知らせが届いた。いったん、茨城の自宅へ戻ったあと慌てて支度をすませ、西へ600キロ。夜の高速道路をひた走った。
到着したのは、翌日水曜日の昼過ぎ。練習ラウンドは結局、インのハーフしかできなかったが、初日のこの日は「ぶっつけ本番だった」というアウトで爆発。5バーディを奪い、前半インの2バーディと合わせて通算7アンダー、2位タイだ。
「今日は、途中からスコアが出始めて、緊張するというより、せっかくのチャンスを壊したくない、という気持ちで一杯でした。とにかく1ホール1ホール、無我夢中だった」
初のツアー競技出場で、2位につけるのも初めてなら、ホールアウト後の記者会見(=写真)ももちろん初めて。「試合に出れただけでもラッキーなのに…今日のスコアはまさかって感じ。自分でもビックリしています…」と戸惑いは隠せない。
185センチと「長身のわりには飛ばない」という。平均飛距離は270ヤード。「僕はパットとアプローチ、ショートゲームで勝負するタイプ」と清水。この日の4番パー4 では、グリーン左のラフに打ちこんだ第2打を、プロギアのズームCコンパクトフェアウェーウッドでうまく転がし、チップインバーデイを奪う見せ場も作った。

2日目はスタート時間が1日目と逆になり、午後の最終スタートになる。「夕方のラウンドは、日が暮れてきて寂しい気持ちになるからあまり好きじゃないんですけど…とにかく明日は予選通過を目標に、大事に大事に。いや…もう少し伸ばすつもりで、のほうがいいかな…」と、2日目以降にむけ思いは複雑に乱れているようだった。

★ 清水一浩プロフィールゴルフを始めたのは13歳のとき。ある日、保険会社代行を営む父・理至(ただし)さんが、ヘッドの先が壊れたお客さんの3番ウッドを持ち帰ったのを持ち出して、自宅前の野原で打ってみた。「そしたら、いきなり100ヤードくらい、あっというまに飛んでいってビックリ。テレビではどんなスポーツかは知ってたけど、実際にそんなに飛ぶとは思わなくて。それ以来、病み付きになりました」
法政大学ゴルフ部時代の同期に、横田真一や久保谷健一、桧垣繁正などがいて、一足先にツアーメンバーとして活躍する彼らが、とても刺激になっていると話す。

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