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住友VISA太平洋マスターズ 1999

宮瀬博文、強豪2人とのプレーオフを制してツアー2勝目。

 プレーオフ1ホール目に川岸良兼が、第2打を池に入れて脱落すると、勝負は、宮瀬とイングランドのダレン・クラークとの一騎討ちとなった。
 プレーオフ2ホール目の使用ホールは18番パー5。
 ティショットをフェアウェーにキープした宮瀬は、第2打を安全に刻んで3打目勝負。ピンまで6メートルのグリーンカラーにつけた。
 対するクラークは第2打を右池の淵近くの、浅く島になった部分に落した。
 クラブは水に、スタンスは池の外に、という足場の不安定なショットを強いられ、クラークはかろうじて球をグリーン手前のラフに出すだけ。そこからパターで転がしたが、球は大きくオーバーしてピン手前2メートルの下りのパーパットを残した。

 「クラークさんの第3打は、サンドウェッジで打つと思ったんです。だけどパターを使われたんで…あの位置からならパターで打つとぜったいにパカーンと行っちゃいうんですそれで、ボクは最後のホール、バーディを取ればぜったい勝てると思った…」(宮瀬)。

だが、宮瀬は6メートルのバーディパットをはずした。
クラークが入れれば次は14番ホールに移ってプレーオフ3ホール目に突入する。プレーオフ1ホール目にクラークは、1メートルほどのパーパットをこともなげに沈めて、勝ち進んできていた。2メートルの下りの難しいパーパットではあったが、「あれほどのひとだから、入れてくるだろう」と宮瀬は思ったという。

クラークがパーパットに入る瞬間、宮瀬は心の中で叫んだ。

「頼むから! 頼むから、勝たしくれ!」
 クラークは、このパーパットをはずしてボギー。
 通算74ホール目に、宮瀬は残り50センチのウィニングパットを沈めた。
 美しい夕焼けが、優勝カップをかかげた宮瀬の笑顔を照らしていた。

「良かった…ほんと嬉しい、めちゃくちゃ嬉しいです。
 ツアー1勝をあげるとき(97年札幌とうきゅうオープン)もそれまでにとても時間がかかったけど、勝つことは難しい。2勝目はもっと時間がかかると思っていました。
 プレーオフではこれまで2回とも負けていますが(94年マルマンオープンと今年9月のジュンクラシック)、きょうはプレーオフを争って勝てた。そして、ビッグネームが出揃う大会で勝てた。これは今後、ボクにとって大きな自信になると思います。価値ある2勝目です。
 今年のサントリーオープンのときに、スイングで体重移動ができていなかったことに気付き、それを課題にやってきました。まず左足の内側に体重を乗せてリードして、次に左足の内側に体重を移していくというふうに、順序よく体重移動ができるように取り組んできたのです。それが徐々にうまく出来つつあるときでした。
 これからも、いまのいいスイングの状態、ゴルフの調子を固めていけるよう、努力していきたいと思います。
 今大会関係者のみさなま、スタッフの方々、そして、こんなに遅くまで応援してくださったファンのみなさま、きょうは本当にありがとうございました」(チャンピオン 宮瀬博文)

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