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日本プロゴルフ選手権大会 2022

後輩たちにも未来の夢を。堀川未来夢が逃げ切りの日本タイトル2勝目

卒業後もコース近くの日大・三島寮にゴルフ部コーチとしてとどまり計7年間を過ごした。
思い出が詰まった第二の故郷で現役の後輩たちに、みごとな逃げ切りの模範を見せた。




3打差の首位から出た堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)が通算15アンダーで、2019年の「日本ゴルフツアー選手権(現・BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ)」に続く5年シードの日本タイトル2勝を挙げた。


1番から連続バーディの嘉数に1差に詰め寄られた序盤。
3Wのティショットを右の崖下に曲げた3番で、後輩に救われた。

歩測して、距離を測り、番手を決めて、リカバリーの2打目を打とうとした寸前に、ラフに埋もれたボールに別メーカーのロゴがちらりと見えて「僕のじゃない」。


慌てて捜索を開始した時、「ありました!」。応援に駆けつけた現役の日大生が林の奥で発見。

あわや誤球もロストボールも免れ、崖下からラフに出した第3打もピンにくっつけパーセーブ。命拾いをした。


5打のリードで入った後半14番では奥ラフの2打目が高低差2メートルの傾斜を下ってグリーンをオーバー。
逆側のラフまで落とすダブルボギーで再び差が縮まった。


16番でもまた奥のラフに入れ、再び迎えた窮地で今度はチップインバーディ。
土壇場のミラクルで形勢を立て直して自身2度目の日本タイトルをつかんだ。


「今日も追われる立場でだいぶ苦しかった…」と、息を吐いたが首位で最終日を迎えた過去4回で、逆転負けしたのは2018年のダンロップフェニックスだけ。
通算3勝目もまた、逃げ切った。


今週火曜日に、卒業生たちで和田光司・ゴルフ部監督を囲んだ時に、「現役生たちに、勝ちきる方法を教えてやってくれ」と、頼まれていた。

「だから、なんとしても勝ちたかった」と強い気持ちで臨んだ。
「今日は、運もありましたけど、やっぱり最後まで諦めないやつ、相手を嫌な気持ちにさせる選手が強い。ほぼ優勝が決まっても、最後まで全力で打つことが大事」と、3差あっても後輩たちが見守る前で、18番のバーディトライは余計に気迫をこめた。


今週は、部員120人のほぼ半数が、キャディや運営のお手伝いでコースにひしめき、最終日には古川龍之介・主将が17人の部員を引き連れ、ピンク×黒の日大カラーで応援。揃いのチームウェアがコースのどこでも目を引いた。


優勝の瞬間も、息をぴったり合わせて「先輩、おめでとうございます!」。



体育会の腹から出す若い声援が、馴染みのコースに心地よく響いた。


1年の入学時には、レギュラーにも入れず、なかなか結果も残せず、3年時にはプロを諦め就職活動したことも。
「今日応援にきてくれたのは、みんなオフに合宿で回ったりする子たちなんですけど、ときどき、僕が負けたりする」と、笑い「こんな僕でも諦めないで最後まで頑張れば優勝できるってことを、彼らに見せることができて良かったです」。

未来の夢と書いて「みくむ」と読む29歳がゆかりの地で、これから未来のある若者たちにも大きな夢を見せた。


応援ありがとう。これからも一緒に頑張ろう


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