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JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品 2021

願ってもない初代覇者誕生。初Vの片岡尚之は23歳、プロ4戦目

©JGTOimages
初代に相応しい覇者が誕生した。
19年のプロ入りもコロナの影響で、まだこれが4戦目。
23歳の片岡尚之(かたおか・なおゆき)が、選手会主催の初トーナメントで初優勝を飾った。

大会会長の時松隆光から優勝杯を受け取り、「選手会が作ってくださった試合で、少ないチャンスを生かして勝つことができた。感謝しています」。

まれにみる大混戦を制した。
最終日を共に、首位と4差で出た金谷拓実が1番からいきなり4連続バーディを奪った。
「同組の孔明さんもいいプレーをされて。ついていこうと思った途端に自分も3連続バーディが獲れた」と、自身も混戦に踏み込んだ。

午後からの強い風には最近、練習を始めたという低弾道のショットが生きた。
17番のパー3は、第1打を右奥の深いラフにいれたが難しい状況でもボギーにとどめた。
「それで気持ちの余裕ができて、18番もパーで上がれた」。
その時点で5人タイの通算15アンダーで、プレーオフに備えて練習場に行った。

でも「練習するフリです。ふわふわして、ぜんぜん集中できない」。
諦めて、「他の選手を見よう」と18番に戻ると目の前で、次々と後続選手が脱落。
石川は池に入れた。
時松は、右のバンカーからボギーを叩いた。
最終組の宮本は、奥のラフからふわりと上げる絶妙の寄せ。
いよいよ、と慌ててコースメモを取り出し、風向きを読んだり、次に備えてワタワタしている間に初Vは転がり込んだ。

「信じられない。何が起きたのか。実感できません」。

48歳の宮本。「プロ4戦目で凄い。少ないチャンスをモノにするというのは何かを持っている」と、23歳の勝者を賞賛。
「僕はゴルフ界いちのイケメンだと思っている」と、加えた。

「そんな、褒めすぎです」と、照れた。
「似ているといわれる芸能人? いないです。サッカーの内田篤人さん? あっ、それは…言われます」。しれっと言った。

北海道の江別市出身。2歳からゴルフを始め、小4でプロを目指してスクールに入塾。道内ジュニアを次々と制覇し、札幌光星高2年時の14年に「北海道アマ」で最年少V。

強豪が集う東北福祉大の出身だが松山英樹とは、接点がない。
「練習に何度か来てくださいましたが緊張して見てただけ。次は積極的に話しかけてぜひ教えていただきたい」と、偉業のOBにもアピールした。
尊敬する先輩は、2つ上の佐藤太地(さとう・だいち)。まだレギュラーツアーの出場資格はないが「誰にでも優しくて、平等に接してくれる。憧れの存在です」と、人間性にほれ込む。
さらに1つ下には金谷。「別格です。実力も実績もすべて上。今回はたまたま勝てましたが、ちょっと今はかなわない」。
偉大な先輩、後輩に恵まれ成長途中。

「今回、選手会主催で試合を開催してもらって、少ないチャンスで優勝させてもらって、僕のような選手がこの大会に勝てたことは、今後のゴルフ界にとってもいいことかな、と思います。これがまぐれと言われないよう、2勝、3勝と続けたい」。

プロ4戦目の初優勝は、日本勢としては、先輩の松山と金谷に次ぐ3番目の最速記録。また、コロナの特別措置で、昨年9月に導入されたセルフプレーによる勝者の第一号。
コロナ禍で、失われた職場は自分たちで作る、と発足した本大会。
選手会会長の時松は「23歳にはここから羽ばたいて欲しい」と、大いに期待を寄せた。

願ってもない選手が初代王者に輝いた、この日は母の日。
「僕がプロになると決めてから、練習や試合の送り迎えや栄養の付く食事など、小さいころから全力で尽くしてくれた。感謝してもしきれません。これが終わったら、すぐ電話で報告したい」。
願ってもない贈り物になった。

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