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HONMA TOURWORLD CUP 2017

宮里優作が地元で完全試合を達成

今季3度目の地元Vには大きな勲章がついてきた。宮里が、住んで4年の名古屋で伝説を作った。
61を出した初日から、首位を走り続けた4日間ともボギーなしでの優勝は、記録が残る85年以降でいうなら史上初。家族の前で、完璧なまでの完全試合を成し遂げ「こんなにつらい4日間になるとは。疲れました。苦しかった」と最後もしっかりパーで締めくくった18番で、やっと重圧から逃れて嘆息した。

2打差から出た最終日は1番で、ピンそば1メートルのバーディを奪って早々に20アンダーに乗せた。
6番のパー3ではあわやのスーパーショットで、下位との差は開く一方だった。一時は6打差をつけるとそこからは、自身と記録との戦いとなった。
「途中から意識しちゃって。ボギーを打たないようにしている自分がいて。余計なことも、考えたりした」と、守った途端にピンチを迎えた。9番では手前20メートルのバーディパットが3メートルも行き過ぎたが辛くも沈めたことで「ボギーが来てもいいから、しっかりピンを狙っていこうと切り替えられた」。
後半はバーディがひとつでも、一度もパーオンを逃さずショット、パット共に安定のゴルフで大記録を打ち立てた。

今季限りの引退を決意した妹の藍さんは前夜も仲良し兄妹のグループラインで「“行け〜”とか、“やれ〜”とかのスタンプ攻撃」。72ホールを、ボギーなしで回りきることがどれほどの難しさかを知った上でのエールと受け止め、兄の気合いが入った。

スナッグゴルフに打ち込む長女の萊杏(らん)ちゃん。最近では一丁前に、ツアーのデータを検索してパパのスコアノートを作って「パパ、ボギーが多すぎ!」。娘の可愛いらしい叱責に、苦笑しながら「分かった。パパ、ボギーを打たないように頑張るわ」と、軽い気持ちで請け負ったのが今週、現実のものとなった。

子どもたちを連れて、午後から会場に合流した妻の紗千恵さん。この日はちょうど、紗千恵さんのお父さんの命日でもあった。一周忌の法要を済ませてから夫の応援に駆けつけた。
今週月曜日に、共に墓参りを済ませた時には「ずいぶん長く、手を合わせていたので。墓前で何を話していたの」と、妻のひそかな疑問も72ホール目に解けた。
タップインのウィニングパットを沈めた夫は、澄んだ瞳で秋色の空を見上げて「お義父さんには“いい風を吹かせて下さい”とお願いした」と、打ち明けた。

「いろいろ試された中だったので、そこに打ち克てたのは自信になる」。
これで再び賞金ランクは1位に浮上。
自身初の完全優勝を達成して、痛感した。
「トップに居つづけるのは、ものすごくエネルギーが要るし、それだけ体力も使う。賞金王を獲るためにはこれからが、もっともっと大変ですね」。
やはり名古屋の中日クラウンズと出身の沖縄の日本プロでの2試合連続Vに続いて、また地元名古屋で打ち立てた金字塔はシーズン最後にこそ、1位を獲るための試金石。
「これから賞金王を狙うためにはもっともっといいゴルフしないといけないし、集中力もどんどん研ぎ澄ませていかないといけない」と、今季3度目の地元Vに気が引き締まる。

次週は、岐阜県の岐阜関カントリー倶楽部で行われる日本一決定戦。
「次週も東海地区で試合があります。今週はいい弾みが出来たので、このまま賞金王に向かって加速します。また勝ちます。また見にいらしてください。お待ちしてます!!」。
賞金王を狙う選手会長が、再び地元で2週続きの快挙を誓った。

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