Tournament article

トップ杯東海クラシック 2017

星野陸也が伝説を作っちゃう?!

その片鱗を匂わせる三好のアーメンコーナーだった。特に難ホールが続く、上がりの3ホールで、星野が2度のチップイン。
「神ってました」。
16番は屈指のパー3で、ピンフラッグもほとんど見えない左の崖下に落とすピンチに「アーメン・・・」とつぶやいても攻略ルートは、分かっていた。
「練習ラウンドで、何クッションでいったらいいかというのをやっていた」と、星野に選択肢は2つあった。
「59度でワンクッションで行くのがいいか、52度でツークッションで行くのがいいのか」。
何度も試して52度で転がせば、勢いがつきすぎてグリーンの外に飛び出てしまう危険性があるが、59度なら上手く止まってくれると分かっていた。
「59度のワンクッションが、ベストだった。練ランどおりに打ったら、ジャストタッチで完璧でした」と確かな感触は、崖の上から聞こえた大歓声で、入ったんだと分かった。
奇跡のチップインバーディは、一度で終わらなかった。
最後の18番では手前にこぼした3打目を今度は52度でまたチップイン。

この快挙を知った大先輩も、喜んだ。
火曜日に、初めて練習ラウンドで回った片山晋呉が「何? 入っちゃったの?!」。
16番の崖下からの予行演習を、星野に命じたのも片山。
「おまえ落とすんだから、練習しとけ」と言われて素直に、トコトコ傾斜を下りていったっけ。
「あの性格の良さ。ゴルフへの好奇心。ああいう選手は伸びる」と片山が見込んだとおりに、練習の成果を出した星野。
「そもそも、実際にあそこに落とす時点でダメなんだけど。もったいない。まだまだ、ゴルフを知らなすぎる」と片山が手厳しいのはその才能を見込んでこそ。
「22歳でしょ。あの頃の自分の5倍くらい上手い。僕は試合にも出られなかった。あの歳で、優勝争い出来るなんて羨ましい」と、同スコアで並んだ後輩を、絶賛した。
「片山さんと回らせてもらって、バンカーを教えてもらったり、見て学ぶことばかり」と、先輩に感謝した。

ファイナルQTのランク1位から臨む今季。
初戦の海外2戦でトップ10入りして、上々の滑り出しも帰国直後に、4年愛用したドライバーのヘッドが割れて、そのあと代わりがなかなか見つけられなかった。
5月にやっと新しいのに巡り会えても、すでに崩してしまったスイングを、立て直すのにもまた時間がかかった。
思うような結果が残せないままここまで来たが、それでも地道に稼いで、獲得賞金はすでに1700万円超。
賞金ランク31位にもはや、初シード入りは確実といってもよく次の目標はひとつしかない。
「今年は1勝したい」。
18歳で、三好を制した兄貴分の石川遼に次ぐ大会の年少記録(85年以降)で最終日こそ伝説を作る。

関連記事