HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF 2016

苦節17年、林由郎氏の最後の弟子! 海老根文博が記念すべき初トップ

働けど働けど、じっとボールを見る・・・
ことごとくラインが見えた! ほとんどすべてのチャンスパットを読み切った。最終組から出た最後の9番でも、スライスラインをねじ込んだ。最後も3メートルのチャンスを決めた。
41歳の海老根が自身初の首位に立った。プロ17年目のベテランが、上がってプレーの内容もほとんど覚えてないほど渾身の初日だった。

これまた初めて臨んだ記者会見。報道陣がずらりと居並ぶ会見場。「うわあ〜〜〜」。入ってくるなり思わずひるんだ。
「本当ですか」と、腰が引けた。「恐縮です」とぺこぺこ座った。
ボギーなしの64にも、なぜか首をかしげて「自分でも不思議です。いつもはもっとボギーを打つのに」。

ツアー優勝はおろか、いまだシード権を獲得したこともなく、ツアーは今季のダンロップ・スリクソン福島オープンの10位が自身の最高順位だ。
昨季は出場権すらなく、アジアンツアーを回った。
QTランクの資格で出ている今季も夏以降はなかなかチャンスに恵まれずに「僕の今季はもう終わったと思った」。
思いがけず出場権が降りてきた今週も、さしたる目標が持てる状況でもなく、初日からただ目の前の1打に真剣だった。

大会の地元茨城県の出身で水城高校OBだが、なぜか「帰宅部」。2学年上に、片山と宮本が君臨する強豪チームは入部テストがあるのだが「受け忘れた」と独学で学ぶしかなかった。

卒業後は水戸グリーンカントリークラブの研修生となり、青木功やジャンボらも教えた林由郎氏の最後の弟子を自負する。「コースに週3回ほど教えに来てくださった」と、グリップの握り方からフックやスライスの打ち分けなど、4年ほど師事した。
99年のプロ転向から、厳しさばかりを痛感する日々。亡き師の恩に報いる結果にまだ恵まれないが、「コツコツと、ひっそりと、順位とかは何も考えずに。応援してくれる人がいるから、腐らずにやりたい」。

プロ17年目にして最大のチャンスを生かせるか。

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