Tournament article

日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 2016

こちらは20歳のチャレンジャー! 池村寛世(いけむらともよ)も首位タイに

弱冠二十歳が初出場のメジャー戦で、初めて生放送に出演だ。初日は2アンダーで回って受けた全国区のインタビュー。ディレクターのキューを待つ間に、「短めでお願いします」。マイクも拾わないちっさな声でお願いした。「苦手なんで・・・」とどぎまぎと初々しく、それでもカメラ目線でしっかりと答えた。

地元鹿児島県で、幻の焼酎「魔王」の原料となる、さつまいも農家の長男に産まれた。小3から家業を手伝い、今年も5月の連休は苗植えに精が出た。10歳のとき、ゴルフの道に誘い、尚志館高校時には豪州にゴルフ留学に出してくれた父も、たまの里帰りは「ジムに行くなら、手伝いしろ」。

確かに、ヘタにトレーニングをするよりも、畑仕事は良い鍛錬になる。「毎日5,6時間座ったままの姿勢で、下半身がしっかりする」。家業で鍛えた自慢の飛距離。そして、昨季のチャレンジトーナメントは賞金ランク3位でつかんだ出場権だが、このツアープレーヤーNO.1決定戦の舞台は、それだけでは通用しない。

パー71に対して全長7384ヤードの宍戸ヒルズカントリークラブは今年は特に、ラフが深く、グリーンが堅く、大会主催のJGTO会長の青木功が策に策を練って施したピン位置は、噂以上の手強さだった。

しかもこの日初日は強い風。「とりあえず、まっすぐ行かせることに必死で。飛距離が行かせるホールがひとつもない」。苦しい展開も、先週まで練習に練習を重ねたパッティングに救われた。
「インパクトで緩みやすいクセがある」。3メートルの入れ頃外し頃のストレートのラインを、しっかり打つことで、安定したストロークを体にしみこませた。
17番は、最難関の長いパー4で、4メートルに乗せたバーディチャンスをねじ込んだ。「ボギーを打っても仕方の無いホールなので。今日一番嬉しかった」と、あどけない笑顔に充実感をにじませた。

今年は国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で初日に5位で出ながら、結局52位に終わった。先週のミズノオープンの32位タイが、まだ今年の最高順位で、「早く結果を」と、焦る気持ちもある。

7月のダンロップ・スリクソン福島オープンで、今年最初の出場優先順位の見直しがなされるまでに、ひとつ大きな結果を出しておきたい気持ちがある。ツアー出場の機会が減れば、おのずと農作業の時間が増える。華やかなツアーの世界で転戦生活を始めた今は「また、家に帰って畑仕事はしたくないと思うから」。
出来ることなら今年一杯はどっぷりと、ツアー生活にハマりたい農家の長男坊。
ここ5年は初優勝者が続く今大会で、そのジンクスに池村もあやかることが出来れば、大会最年少Vの快挙でもある。

関連記事