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リシャール・ミル チャリティトーナメント 2025

記念日がまたできた。池村寛世が妻に捧げる3勝目

池村寛世(いけむら・ともよ)が、キャディの妻・琴音(ことね)さんに結婚後の初Vを捧げた。
3打差を追ったこの日は、リーダーボードで、「(河本)リキしか伸びていない」と確認した直後の後半13番から圧巻の逆転劇を演じた。




4メートルのバーディを皮切りに、14番で13メートルのイーグルトライをねじ込み一気に単独トップに立つと、15番で奥のラフからチップイン。
16番では今度、8メートルのバーディトライも決まった。

交際を始めてすぐ21年の初優勝(ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント)も、22年の2勝目(ASO飯塚チャレンジドゴルフ)も琴音さんに支えられたが、昨年5月の結婚後としては"初V”を達成。
記念の通算3勝目となった。

昨年10月の日本オープンでも献上のチャンスはあったが、最終日の最終組で「78」を叩いてぼろ負けしていた。
「ネガティブな性格で、いい位置にいるのに勝ち切れないのが課題」。

2月、同学年の比嘉一貴に聞いた言葉が支えになった。

「1年間で 300 個くらいバーディーがある中のたった 1 個。ダブルボギーも年間 10 個くるうちの 1 個がたまたま今日来たって思うだけ」。

平常心を心掛け、プレー中はガッツポーズも封印。優勝が決定し、夫婦で抱き合う瞬間まで感情を押さえ続けた。

今季、「日本とアジアで1勝ずつ」を掲げたものの、先月のアジアンツアー「インターナショナルモロッコ」も51位どまり。

「なかなか結果が出ない」と、帰国後に一念発起。有酸素運動を取り入れ、「心拍数150以上から何分走れるか」と限界に挑戦。体力、持久力を養いながら、「ウィークポイント」の小技練習にも力を入れ、クラブ選定にも熱中。

投入した5本のウェッジを駆使して、今週は計5度のチップインを記録。特に今週、おろしたばかりという地クラブメーカー「ゾディア」の61度はてきめんで、最終日は15番でのチップインや、17番では難しいライからの寄せワンパーも難なく成功。
かたわらの琴音さんも「見違えるほど変わった」と目を見張った。

長いクラブの操り方は変わらず独特で、通常の1Wとヘッドが小粒な“ミニドラ”を併用。
この日は1、16番のティショットで通常ウッドの“直ドラ”を披露したかと思えば、最後18番では右の林の中から、“ミニドラ”で脱出のスライスボールに挑戦。

琴音さんは、最後のピンチでさえ、特別賞の1600万円を狙って「イーグル獲ろう」と、言ったそうだ。


「彼女は僕と違ってずっとポジティブなので。力強い味方がずっとそばにいてくれる」。力を合わせて急場もしのぎ、手と手をつないで水シャワーに仲良くダイブ!


専属キャディになってもらって3年、交際からなら7年経つが、今もラブラブ。
結婚式の「予定は未定」(琴音さん)だそうが、先月のモロッコ遠征時に帰路の経由地パリでウェディングフォトに挑戦。
エッフェル塔やノートルダムを舞台に幸せに浸ってきたばかりだ。

試合中も、キッチン付きの宿で食事を作ってくれるなど愛情満点。「本当に恵まれてるな、って。結果でしか返すことができない。今年絶対勝ちたいと思っていた」。

愛妻の献身にやっと報えた。

池村の誕生月8月と、琴音さんの3月と合わせて2人のラッキーナンバーは「83」。
プレー後に、ウィニングボールを受け取った琴音さんがふと気づいた。
「きょうは8月3日だ!」。
入籍日の5月26日に続く記念日が、またできた。

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