Tournament article

Indonesia PGA Championship 2013

谷昭範が「僕も日本人なのに・・・!!」

どちらの出場枠で出ていようと、日の丸を背負って戦う気持ちは同じだ。だからこそ、見捨ててはおけなかった。「僕の写真が出ていなかったんですよ!」と、冗談交じりに憤った。

「ジャカルタ新聞」は、インドネシアで発行されている邦字新聞。
大会前日は、27日の水曜日に大会の特集記事が組まれ、JGTO枠から出る60人全員の顔写真付きで、2面に渡り各選手のプロフィールがデカデカと載った。

しかし、そこに谷の名前がなかったのだ。
「僕も日本人なのに・・・」と、一抹の寂しさも禁じ得ない。
もっともそれは仕方ない部分もある。。

なぜなら谷は、共同主管のワンアジアツアーからの出場だから。

昨年、シード落ちを喫した谷は、起死回生のファイナルQTでも80位に終わり、今季ツアーの出場はほぼ、絶望的になった。途方に暮れていたとき、先の「タイランドオープン」と、この「インドネシアPGA選手権」が、ワンアジアとジャパンゴルフツアーの共同主管競技となり、獲得賞金が両ツアーの賞金ランキングに加算されることが判明して飛びついた。

今年2月にマレーシアで行われたワンアジアツアーの出場権をかけたQスクール。
「ここで1位になれば、2試合に出られる」。
日本ツアーでは、予選会にあたる“ファイナルQT”で出場権を得た選手の出場資格は、賞金シード選手よりも下位になるが、こちらのワンアジアでは予選会の優勝者に限り、レギュラーツアーのチャンピオンと並び評され、シード選手よりも出場優先順位が上になる。

そんな下調べも入念に、いざ敵地に乗り込んだ谷はみごとQスクールで1位に輝き、今シーズンのフル参戦チケットを手に入れた。
「Qスクールの最終日は普通のトーナメントの最終日よりも、緊張しました」と笑う。
というのも、この2戦で好成績を残せれば、日本ツアーのリランキング(出場優先順位の見直し)で、ジャンプアップも見込めるからだ。

そんな思惑があったからこそのプレッシャーも、ここで筋書きどおりに結果が出せれば、報われる。
少ないチャンスを生かすための準備も怠らなかった。
昨年の年末から、ほとんど家に帰っていない。
この2試合を見込んで、オフはもっぱら東南アジアで調整を続けてきた。
「“初来日”は先日。日本プロの予選会で、5日ほど帰ったきり。すぐまた戻ってきた」と、タイやシンガポール、マレーシアでラウンドを重ねてきた。

それだけに、「こちらの芝には他のどの選手よりも慣れている」と、胸を張る。
今大会が終わったら、やっと日本に戻る。
チャレンジトーナメントの開幕戦「Novil Cup」で、“国内初戦”を迎える。
その前に、大きな手土産を持ち帰りたい。
開幕前には載せてもらえなかったが、ここインドネシアで改めて、自分も日本勢の一人であることもアピール出来る。

関連記事